保育士は大変…辞めようと決める瞬間5選:保育士の生の声      

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■ライターネーム
みのり
■紹介文
元々は会社員(OL)でしたが、出産&子育てを経て、保育士の資格を取得して保育士、併せて、小学校の放課後教室の指導員もしております。ライター歴4年目。

 

保育士のみのりです。

 

元々は会社員(OL)でしたが、出産&子育てを経て、乳幼児期はその人の土台を作る人生で一番大切な時期、ということを知りました。その大切な時期に関わる仕事だと憧れるようになり、保育士の資格を取得しました。託児所や保育園での勤務経験があり、現在は小規模保育園のパート保育士をしています。

 

我が子のお昼寝タイムなどに、集中して自力で勉強し、合格ゲット!憧れの保育士にはなったものの、理想とのギャップに悩んだことも多数あります。今でも「もう無理…。」「向いてないかも…。」と思うこともしばしばです。

 

保育士のみなさんも、希望を胸にいっぱい持って働き始めたことと思います。それなのに、多くの保育士は仕事を辞めたいと思ったり、心を病んでしまったり、転職したり…。保育士離れ・保育士不足が社会問題にもなっているほどです。

 

保育士をやめたい、と思う原因となるものは、いったい何なのでしょう。現役保育士・もと保育士の声を集めました。私自身が働いている上で感じたことと合わせて、原因を探っていきたいと思います。

 

保育士なんてもうムリ、と思う瞬間TOP

とにかく仕事の量が膨大すぎる

保育士というと、「仕事の量が膨大」というのが世間での常識のようです。私もそうですが、勤務時間内は常に何かしら動き回っていて、時計を見ながら次にすることを考えていて、書類などはどっさり、家に持ち帰ってすることが当然のような毎日でした。

 

保育士Aさん

私立の大規模な保育園で正職員として働いています。短大を出て2年目、0才児クラスの担任です。卒業した先輩たちから、仕事量の多さは聞いていましたが、子どもが大好きなので実際に働くまではさほど気にしていませんでした。

 

ところが、働き始めてすぐに、先輩たちの言っていたことを実感しました。定時に帰れることはなく、残業の毎日。会議も多いので時間が足りず、書類や制作物の準備などは持ち帰ってすることも。家族全員巻き込んでいます。あまりに時間がなさすぎて、家のことを何一つしない父親にまで、『こいのぼりの目玉』を黒い画用紙で切り抜いてもらう羽目になったこともあります。

 

休日出勤も多く、プライベートの時間がほとんどないような生活です。暇があれば寝ていたい、と思ってしまいます。いくら子どもが大好きでも、こんな生活を続けられる自信はなく、転職を迷っています。

 

Aさんのような子ども大好きな保育士さんが、保育だけに専念できるような職場はないものでしょうか。

 

私はパートに切り替えてからは、持ち帰りは「ほぼ」なくなりましたが、それでも「ほぼ」です。私の園が特別なのかも知れませんが…。時給で働いていて、勤務が終わっても自宅に持ち帰って仕事をするような職業はどれくらいあるのでしょうか。

 

園の方針が考えと合わない

保育士Bさんの声

保育士Bさん

私立の保育園に勤務しています。現在5歳児クラスの担任をしています。うちの園は、発表会や作品展、音楽会に運動会など、各行事にとても力を入れています。力を入れるということは、良いものを作り上げる必要があるということです。実際、保護者の多くもそれを期待しておられます。ここは幼稚園ではなく保育園なんだけどな、と首をひねりたくなります。

 

0~2歳児の乳児クラスはともかく、幼児クラスで5歳児にもなると、プレッシャーがすごい。それぞれの出し物の内容を厳選、完璧に仕上げて当たり前と見なされます。園長や主任からのダメ出しはすごいです。

 

なぜその歌や劇にするのか、厳しいヒアリングから始まります。そして当日に向けて、怒涛の日々。衣装や小物はもちろん手作り。私と補助の先生と二人で準備する必要があります。

 

5才児なので、切ったり貼ったり、自分たちで出来ることはたくさんあるし、それを制作の時間に充てるのですが、もちろん得意な子どもばかりではありません。私としては、その子が頑張って作ったのならば、出来映えが悪くてもそれでオッケーだと思うのです。

 

でも、園長は違います。苦笑いを浮かべて『もう少し何とかならないの?』と不満を口にするのです。ひとりひとりの子どもの得手不得手や、その努力の過程やどのくらい成長したのかということよりも、その完成度がすべてのようです。

 

この園長先生、誰の方を向いて保育をしているのだろうと思ってしまいますね。保育園は本来、「保育に欠ける児童」の健康と安全を守るべき立ち位置のはずです。教育的なことを詰め込む所ではないはずです。

 

私立園だから、経営のことが重大事項になるのも理解は出来るのです。評判を上げて園児集めをしなければ、経営が成り立たなくなる危険もあります。

 

とは言え、Bさんのように、子どものことを本当に考えている保育士にとっては納得できることではないでしょう。Bさんが園長を満足させるために、出来ない子どもやマイペースの子どもを厳しく追い立てて、プレッシャーを与えるような保育士にはなって欲しくはないものです。

 

仕事内容に対して、給料が安すぎる

「保育士は安い」も世間の常識ですよね。「子どもが好きなら、安くても頑張れるよね。」という暗黙のうちにお給料を低く設定されているような感じもします。子どもにだけでなく、働いている園にも「無償の愛」を与えることが当たり前とされるような空気も。

保育士Cさん

同じ保育園で正職員として10年目です。それでも、お給料はほぼ横ばいです。10年目ともなると、主任クラスの責任のある仕事も与えられます。自ずと勤務時間も長くなり、プレッシャーも増えているにも関わらず、お給料はほとんど変わりません。

 

このまま働き続けても、収入が増える見込みもなく、体を壊さないか心配になります。私は独身ですが、自分で食べていくにしては安すぎるのではないかと思います。もし結婚・出産しても、正職員で続けていける仕事ではなさそうです。どちらにしても、将来のことを考えると、違う職種を選んだほうが良いのか迷ってしまいます。

 

結婚や出産のために退職した保育士が、潜在保育士になっているケースが多くあります。働いていた頃の大変さを思うと、家庭と両立できるとは考えられませんよね。大変であっても稼げるならともかく、そうでないのならば尚更です。

 

自治体によっては、保育士不足を解消しようと、潜在保育士を発掘するためにあの手この手を考えているようです。テーマパークの年間パスで潜在保育士を釣ろうとしている自治体もあります。

 

保育士からすれば、そんな目先の奇策を施すよりも、月々のお給料をあげてくれるといった、長い目で見た政策を求めるのですが…。

 

事故が怖い

保育中の事故は、小さなものから、命に係わるような重大なものまであります。大切な子どもの命を預かっていると思うと、真面目な保育士ほどプレッシャーを感じるものです。

 

保育士Dさん

派遣職員として、大規模保育園で働いています。派遣とは言え、フルタイムなので正職員とあまり変わりない仕事内容です。園長が理不尽に厳しくて、正職員の保育士たちの中には、忙しいにも関わらず、スキを見ては調理室や違うクラスに来ては愚痴をはいている人もいます。

 

そんな中、私が大変な失敗をしてしまいました。おやつを給食室から運び、アレルギーの有無を確認して配膳します。他に二人、正職員の保育士がいるのですが、違うクラスから愚痴を言いにきた保育士の話をうんうんと聞いていて、おやつは私にお任せ状態。よそって配って、余裕の無い状態で配膳、あってはならないミスをしてしまいました。

 

正職員のひとりが気づいて、慌てて吐かせたのですが、私は冷や汗が噴出し身体が震えました。自分たちの落ち度もあるので、誰も私を責めることは無かったものの、そんな問題ではありません。命を落としていたかも知れず、もう保育士の仕事が怖くなってしまいました。

 

アレルギーの問題は、その子どもの生命に直結します。本当に気をつけなければなりませんよね。実際に、小学校の給食のおかわりで命を落としたケースもありました。誤ってノンアレルギー児の分をアレルギー児に配膳して、アナフイラキシーショックで亡くなってしまったのです。

 

ケガの事故もあります。子どもは思わぬ動きをすることがあり、保育士が傍にいても起こってしまうことも少なくはありません。ほんの一瞬、目を離したことで骨折のような大きな事故につながってしまったケースもあるのです。

 

自分が関わった事故があると、保育中に不安を持ってしまって、余計に小さなミスを連発してしまうこともあります。これでは悪循環です。真面目であればあるほど、プレッシャーで体調を崩すことにもつながってしまいます。

 

女の職場ならではのネチネチした人間関係

 

最近では男性保育士もずいぶん増えました。それでも、まだまだ女性がメジャーな職場です。女同士特有の陰湿な人間関係に困っている保育士もずいぶんいます。

 

保育士Eさん

保育士2年目です。真面目な性格なので、先輩の指示にも素直に従って頑張っているつもりなのですが、何が気に食わないのか、あからさまに無視したり、失敗を鼻で笑ったり、分からないことがあっても馬鹿にした素振りをするだけで、教えてくれない人たちがいます。

 

正直、人間として全く尊敬できない人たちです。もちろん、こんな保育園ばかりではないことも分かってはいますが、女性の多い保育士の世界ではよくあることなのかな、なんて思ってしまいます。

 

それに、保護者とのコミュニケーションも大変ですし、職場だけではなく、子供の親とも上手く付き合っていかないといけないので保育士での人間関係はホントに大変です。

 

どこの職場でも、程度の差はあれども人間関係のゴタゴタは起こる問題です。保育士の場合、女性社会と言えるので、女性の中で上手くやり取りをしていく術が必要になってきます。

 

また、保育士の人間関係の悩みは、保育士間のみならず、対保護者でも起こり得る問題です。私の勤めていた保育園では、進級式で担任の紹介があった時に、「えー、〇〇先生が良かったのにー!」と、他の保育士の名前を出されて、あからさまに嫌な顔をされた保育士もいました。いくらこの保護者が非常識だとは言っても、これは深く傷つきますよね。自己肯定感がゆるがされるような一件だと思いました。

 

保育士の仕事は好きだけど・・

保育士を辞めたくなるような原因、たくさん見てきました。どんな職業を持っても、何かしら悩みは起こるとは思います。辞めたいと考える保育士の中でも、転職せずにその職場で働き続けている人・職場を変えて保育士として働く人・保育士を辞めて違う職種で働く人など、歩む道は様々です。

 

辞めたいけど保育士の仕事は好きだったり、次に良い職場が見つかるか不安だったり、今後の自分の進むべき道についてあれこれ思い悩むことでしょう。

 

実際に辞めたいと悩んだ上、人によって様々な結論を出しています。いくつかのケースを紹介します。

 

そのまま職場に残った人

私の保育園にいた派遣のF先生、穏やかで可愛らしくて優しい雰囲気で、子どもたちから慕われていました。2才児なので複数担任制で、私も一緒のクラス。そのクラスの主担は気分屋でヒステリックな面のある女の先生でした。一生懸命なんだけど、生真面目すぎて融通が利かず、周囲の状況に合わせて予定を変えることを嫌いました。

 

決まったやり方を貫きたい人で、正直、私も含め、みんなやり辛かったようです。私なんかは聞き流していましたが、とあるF先生はその先生の言動をいちいち気にしていました。

 

翌年度に契約を続けるか辞めるか、ずいぶん迷っていましたが、派遣職員としては自分の条件にばっちり合致するので、残ることを決めました。翌年度はその先生と離れさえすれば、後の気になることくらいは目をつむれるからと。ちなみに、私はその年度をもって辞めましたが。

 

そして翌年分の担任編成の発表。びっくりでした。5才児の担任がそのヒステリック先生で、その補助としてF先生でした。当然、ものすごく落ち込んでいました。どうしてその組み合わせ?と不思議で聞いてみたら、F先生の勤務希望時間が5才児の補助にピッタリだからとの事。トップは保育士の相性云々よりも、少ない保育士をどう使って保育園を回していくか、しか考えてないのかも知れません。

 

新年度からの話は、私が仲良くしている先生から、色々なことを聞きました。やっぱり、指示したことがちょっとでも出来てなかったりすると、子どもたちの前でも大きな声で叱られていると。時々、泣いているとも…。

 

職場に残ったものの、F先生の場合は、アンラッキーにすぎないのかも知れません。違うクラスに配属されていれば「残ってよかった」ケースだったはずだから。

 

ひとりで抱え込まないこと

残るかやめるか、条件を最優先にしたために起こってしまったのですが、条件は絶対に大切ですよね。条件がばっちりでやめるのが勿体ない職場なら、多少の辛いことは我慢できるかも知れません。でも、それも限度問題ですよね。

 

F先生は「真面目で責任感が強くて優しい」という、保育士の条件にドンピシャな先生です。こういう先生が、保育士を辞めるのは本当にもったいない。でも、そういう資質だからこそ精神を病んでしまうこともあるのです。

 

幸い、彼女は他の保育士たちとは良い関係だったため、愚痴を聞いてもらったりしながら、何とか一年間乗り越えました。一人で悩まず、周囲の人たちに相談したり、愚痴をはくだけでも心が軽くなりますよ。

 

違う職場で保育士を続けた人

これは、私の話です。先の保育園の契約更新をせず、新年度からは小規模保育園で働くことになりました。

 

大規模園での保育に色々と違和感を抱いていました。子どもたちを能力の差はさておき、みんな同じことをさせよう、同じペースで進めよう、時間通りに進めることも重要でした。ゆっくり子どもと向き合う余裕がありませんでした。「早く!」と口から出ることも多くなり、それが自分で嫌でした。もっと自分に能力があれば、違ったのかもしれませんが。

 

小規模園は、0~2才児までしかいないため、カリキュラムにしばられることもなく、ゆっくりと子どもと向き合えます。ただ、ひとつ大きな問題があります。

 

それは、園庭がないこと。お部屋ばかりで過ごすわけにもいかないので、悪天候でなければ毎日お散歩に出かけます。カートやバギーを出して、子どもたちを乗せて、歩ける子とは手をつないで、人や自転車が行き交う歩道を歩きます。そのお散歩準備も大変、道中もあれこれ気を遣って大変、公園に到着してからも、落ちているガラスの破片や吸い殻やゴミや犬の糞に注意しつつ、子どもの見守り。正直、心身ともにクタクタになります。

 

「はーい!お外出るよ!」で、お約束事したら、わーっと喜んで靴履いて園庭に飛び出して遊べることが、どんなに恵まれた環境だったかを痛感しました。私自身が外遊び大好き保育士なので、尚更かもしれません。

 

「保育園」だけが保育士の職場ではない

このように、保育園の種類によっても、保育士の仕事内容は変わります。「保育園」にこだわらないのであれば、託児所・病児保育室などもあります。

 

これらは預かる子どもの数が保育園よりもずっと少なく、ひとりひとりとゆっくりと関われます。カリキュラムや行事、時間に追われることもありません。穏やかに保育できます。

 

託児所ならば、一時預かりのことも多く、既往症のこともしっかり聞いておかなければ事故につながってしまう可能性もあります。実際に、初めて預けた先で亡くなってしまった子どものニュースもありますね。

 

病児保育ももちろん、体調の良くない子どもを預かるわけで、体調の急変も考えられます。小さな変化も見逃さないよう、しっかりと子どもの様子を見ておく必要があります。緊張感のある保育であるかも知れません。

 

このように、保育士の仕事はどこが勤務先でも、プレッシャーなしには出来ない仕事なのだろうと思います。そのプレッシャーが、心地良い程度のものならば問題ないですね。

 

保育士向け転職サイトを活用する

自分の優先順位をきちんと把握して、勤務先を選ぶと後々の不満が少なくて済むのではないでしょうか。

 

幸いにも、保育士向けの転職サイトもあります。まず登録して、自分が保育士として、どう働きたいか、何を大切にしたいか、絞り込んで職場を探す近道です。コンサルタントもいるので、自分の希望や不安など、色々と相談に乗ってもらえます。

 

保育士という仕事を辞めて転職した人

保育士は激務、給料が見合わない、そもそも向いてないのかもしれない…。ずっと続けていても未来はないと、全く違う業界に転職した人もいます。

 

私も何人か知っていますが、まとめてみると以下のことです。

  • パソコン操作で苦労する。
  • 電話応対、対外文書の書き方等、ビジネスマナーで失敗した。
  • ずっと座って事務仕事していると、何度も寝そうになった。
  • 立ち仕事の流れ作業、ずっと黙って同じことをこなしていくうちに頭がどうにかなりそうになった。
  • 新人といっても若くはないので、「そんなことも知らないの」「そんなことが出来ないんだ」という目で見られるのが辛い。

などです。

 

そして、みんなに共通するのは「保育士のようなやりがいのある仕事はなかなか見つからない」ということでした。

 

人生で遅すぎることは無い

他業種で働いてみて、保育士のやりがいを痛感しても、保育士に戻る人と戻らない人がいます。他業種で続けていくと決めたのであれば、ゼロから始める気持ちをもつことが大切です。

 

最後の「新人でも若くはないので…」は、私が会社員→保育士の逆パターンです。これ、結構辛いです。会社員時代は後輩に色々指示したり、書類を完璧に作って「さすが」と一目置かれていたのに…と、過去の栄光(?)を思い出して、こんなはずでは、と情けなく思ったことも何度もあります。出来ない人扱いを密かに受けていたりします。

 

でも、それでも年数や経験とともに、それなりに出来るようになってくるものです。何か新しいことを始めるのに、遅すぎるということありません。それでも、決めたのならば早い方が良い。自分のこれからの人生では、今が一番若いのです。今から始めましょう。

 

これは保育士を続ける人も同じです。今が一番若いといことを自覚して、保育士としてのキャリアアップをしていきたいものですね。

 

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