あなたの職場にもいませんか、他人の悪口ばかり言っている人。周囲にいると耳障りで、嫌な気分になるものですが、こういう人はさほど珍しくはありませんよね。
他人の悪口をああだこうだと言っているのも聞きたくないし、自分だって言われたくないものですよね。自分が悪口を言われたくないものだから、つい他人の悪口に相槌を打ってしまったり。対応にも苦労します。
そもそも、他人の悪口ばかり言う人の心理には、何か問題が隠されているのだと思いませんか。幸福感のある、安定した心の持ち主であれば、他人の悪口ばかり言わないものでしょう。
悪口大好き人間の心理を理解して、関わり方や対処法を考えていきましょう。
悪口大好き人間の心理とは
自分に自信がない
他人の粗さがしをして悪口ばかりいう人は、どこか自分に自信がありません。自分の自信のなさを認めたくなくて、他人の悪口を言って貶めるのです。そうして自分が優位に立ったつもりになって安心しているのです。
自分に自信が持てず、周囲からも評価されていないと感じているので、「あの人よりも自分の方が優れている」ということを認めさせようとして悪口を言います。
見苦しいのは、評判も良く周囲から信頼されている人の粗さがしをして、悪口を言うこと。羨ましさと嫉妬心から、その人を引きずり降ろそうとするのです。自分の方が優れていると知らしめたいのでしょうが、逆効果ですよね。
仲間意識を強めたい
こう言うと、ポジティブな印象を受けますが、ポジティブな仲間ではありません。誰かの悪口を周囲の人に伝えることによって、その誰かを「共通の敵」とみなして仲間意識を持とうとします。
心理学上、共通の敵がいる場合には、そのグループの仲間意識が高まり結束力が強くなることも証明されています。部活動で、チーム内で意見が分かれたりぎくしゃくしていても、理不尽な指導者が登場すると、全員がその指導者に反発することによって結束力が強まったりするのです。
そういう心理と同様に、誰かを「敵」というターゲットにして、周囲の人との仲間意識を強めます。そして、自分がその「敵」の悪事悪態を告発したヒーロー気取りでいることもあって、さらに厄介です。ヒーローである自分は、そのグループのリーダー気取りです。
自分が間違ってはいないことを確認したい
女性は自分と全く違う人生を歩んでいる人や、意見の違う人に出会うと、自分自身を否定されたような気持ちになることがあります。
同じ職場に勤めている女性同士でも、子育てをしながら働いている人、子どもは持たずに夫婦二人の生活を楽しんでいる人、結婚はせずに、自分の生活を楽しんでいる人など、色々なパターンの人生があります。また、一見同じようにみえても、個人で事情は違うので、全く考え方も生活も同じような人などいないといってもいいはずです。
それでも、自分と正反対の人生を歩んでいる人が生き生きしていると、悪口を言って貶めたくなるタイプの人がいます。
「やっぱり、子育ての経験って必要だと思うのよ。子どもを持つことによって、思い通りにならないこともたくさん経験して、人間的に大きく成長するのだから。」
「一度は結婚しておかないと、人生の最後に後悔しそうだと思わない？」
「結婚して、旦那さんにおんぶに抱っこで暮らしている人って、お気楽よね。だから、仕事も責任感なくっていい加減なのでしょうね。」
自分と違った人生を歩んでいる同性の悪口を言って、同意を得ようとします。同意を得ることが出来たら、自分の人生は間違ってはいないと安心するのです。
悪口を言われても傷つかない方法
他人の悪口を聞くのも良い気分はしませんが、自分の悪口を聞くのはもっと嫌なものだと思います。
みんなの悪口を言う人だとわかってはいても、実際に自分の悪口を言われていると知ると、少なからず傷つきますよね。そんなことで傷ついてしまう自分に自己嫌悪を感じてしまったりして、精神衛生上良くありませんね。
悪口が渦巻いている職場で、自分の身を守る方法、または悪口の標的になってしまっても平気でいられる方法はないのでしょうか。
悪口の仲間に入らない
悪口を言われたくなかったら、日頃から悪口の仲間に入らないこと。距離をおくことです。そうすれば、「お高くとまってる」「何考えてるか分からなくて不気味」程度の悪口は言われることでしょう。
でも、言い換えれば、その程度しか悪口大好き女にネタを与えられません。距離が近くなるほど、粗さがしされる機会も増えて、悪口ネタをたくさん提供してしまうのです。
悪口を言われる側よりは言う側の方が良いとばかりに、悪口の仲間に入ると逆効果です。あなたが大げさに驚いたり同意したりすることで、悪口大好き女を喜ばせるでしょう。
だからと言って、あなたの悪口を言わないような女ではないはずです。あなたがいない所では、あなたの悪口を言うと思っておいてください。人の悪口を言う人間だと見なされて、周囲からは信用されなくなる上に、悪口もよりたくさん言われることになってしまうのです。
悪口の内容を信用しない
「あの人、〇〇なんだって」という悪口、耳にしたことがあるかと思います。その「〇〇」は、果たして絶対的な事実でしょうか？人それぞれ、物事の見方、見え方は違います。見る側のフィルターを通すことで、事実ではないことを断定して伝えられることもあるのです。
絶対的な事実としては、「結婚している」とか「転職組である」とか、ゆらぎない事実があります。そうではなくて、「根暗」とか「お高くとまっている」などは、見る側の主観でしかなく、絶対的な事実ではありませんよね。
だから、たとえそんな悪口を耳にしたところで、「事実というより、この人の見解だな。ネガティブな見解しか出来なくて、お気の毒」くらいに思っておけば良いのでは？
それは、あなたのことを言われた場合でも同じです。あなたが傷つく必要なんてないのです。
とにかく出来るだけ距離をおく
悪口大好き女は、常に悪口ネタを探しているものです。その人との距離が近くなればなるほど、ネタを与えやすくなります。取り巻き女の悪口だって、言ってるわけでしょうし。
悪口を言われるのが嫌ならば、ネタを提供できないくらいに距離をおくのがよいでしょう。粗さがしは、関わるほどにされやすくなります。
職務上、どうしても関わる必要がある場合もありますよね。そんな時にも淡々と、業務連絡レベルの関わりにとどめておけば、あなたのことは視界から消えてしまうはずです。
悪口大好き女と戦わない
決して悪口を言う人間にまともに対峙してはなりません。自分の悪口を言われていることを知って抗議する必要もありません。また、悪口を言うことで仕返しすることも避けたいものです。あなたも「悪口を言う人間」と周囲から見られてしまいます。
とは言っても、身に覚えのないような悪口を言われていると知ると、頭にもくるし抗議したくなりますよね。
抗議したところで、あなたの気持ちは多少スカッとするでしょうか。黙ってやりすごすなんてストレスが溜まってむり、と言うのなら抗議するしかないかも知れません。本人が反省して一件落着、なんて絶対に望めることではありませんが。
「やれやれ、困った人」と距離をおいて見ることが出来るようになると、あなたの方が一枚上の人間ですね。
戦おうとして、叩きのめされた例
社会に出て間もない頃、働いていた保育園に女王様のような先輩がいました。美人・スタイル抜群・エリート高校出身の女性でした。保育士になるためには、学力はあまり必要ないので、高校は底辺校出身だという人もいます。
それでも、保育士になるための課程は修了し、人柄は最高に素晴らしい人もたくさんいます。女王様は、他の保育士の出身校や容姿をちょくちょく「いじって」、まるで面白いギャグを言ったみたいに自ら大声で笑う人でした。しかも、陰口ではなく、本人を前に。陰口を言う人の方がまだマシですよね。
みんな、言われるのは嫌だったと思います。でも、言われて大声で笑われても、自虐っぽく笑い返したり、笑いながら軽く言い返してやり過ごしていました。だって、無視したり反論した時の攻撃の怖さも知っていたから。
ある日、いじられ度ナンバーワンのA子さんが意を決したように反撃しました。「私はブスだし頭も悪いけど、あなたよりもはるかに子どもたちのことを考えて仕事している」というようなことを、真面目に、震える声で。思いがけない反撃に一瞬ひるんだ女王様でしたが、さらに酷い言葉と大きな笑い声で叩きのめしたのです。
「子どもって、きれいな人が好きよね。遊ぶのが上手であろうが優しくしようが、きれいな保育士のいうことなら聞くでしょ。あなたのこと、〇〇組さんの子たちはゴリラって言ってるの知ってる？うまいこと言うよね！キャハハ！」
周囲もさすがに凍り付き、女王様だけが大笑いしている恐ろしい光景。何一つ落ち度のないA子さんは、翌日から保育園を休み、そのまま辞めてしまったのです。こんな理不尽なこと、納得いきませんよね。女王様は普通に勤務を続けているのですから。
周囲の保育士が彼女の高笑いにも距離を置いて、スルーするようにはなったのですが。悪口大好き女は自分に自信がない、と先に書きましたが、この女王様は自信満々で人を見下す高慢な女。テレビドラマに出てくるような嫌な女です。これってどういうことでしょう。
女王様は容姿や出身校には自信満々で、今まで挫折のない人生を送ってきたのではないかと思います。ただ、保育に関しては上手か下手かと聞かれると、後者の部類だったように思います。
確かに子どもというものは、きれいな女性が好きだから、最初は寄って行くものです。また、きれいな女性に強い口調で言われると、固まってしまって、結果として「言うことを聞く」場面も何度か目にしました。でも、それだけ。子どもからは心を許せる先生、とは見られていなかったように思います。それを自分でも感じていたのかも知れません。
A子さんが、悪口女と戦おうとしたのが良くなかったとは言いたくはないのです。黙って耐えるだけなんて、理不尽極まりないですよね。でも、戦おうとして、心を酷く傷つけられて、仕事を辞めることにまで追い込まれてしまった。どうすれば良かったのか、はっきりした答えを見つけられませんでした。
やっかいな悪口女の言うことなど、真に受けないで素知らぬ顔をしておけるといいな、と思うのが精いっぱいでした。
悪口なんて言われても平気
悪口を言われるのは気分の悪いものですが、言われることを恐れる必要はありません。自分の悪口を言われたくなくて、悪口大好き女の顔色を窺うことになると、厄介な事になってしまいます。
その都度、顔色を窺いながらの言動になるので、一貫性がなくなり、周囲の人から信頼されなくなります。「風見鶏」なんて陰口をたたかれるのもこのタイプです。
悪口ばかり言っているような低レベルの人間には、どう思われてもいいと割り切ってしまえると怖いものはありませんね。自分の意見をブレずに伝えられるようになるので、周囲の人からも信頼されるようなりますよ。
悪口大好き人間に意見を合わせるよりも、自分の意見を伝えられる人の方が、信頼されるのは明白です。多くの人から軽んじられて、悪口を言われるとしたら、風見鶏さんのほうですよね。
自分の居場所を再確認してみること
職場に悪口大好き女がのさばっていて、居心地の悪いあなた。その悪口大会の仲間に入って、自分も悪口ネタを提供して、ともに笑ったりすることに喜びを感じている人ではないようです。そういう立派な人だから、居心地が悪いのです。悪口で盛り上がる面々とは自分は相容れないと気付いていると思います。
もっと意識の高い人たちの中で仕事が出来たら、くだらない悪口大会を不快に思ったりする機会も暇もなく、仕事に打ち込むことも出来ます。自分を向上させられるのではないでしょうか。一度、自分の環境を変えることも選択肢のひとつだと考えてみてもいいですね。全ての職場に悪口大好き女がいるとは限りませんから。
女王様に叩きのめされて、職場をやめてしまったA子さんは、しばらくして別の保育園で勤め始めました。
あれから２０年以上たちます。A子さんはある保育園で園長先生をしています。保育士からの信頼も厚い先生です。子どもたちからも大人気で、保護者の方からも信頼されているそうです。きっと、人の心の痛みのわかる、素晴らしい園長先生なのだろうと思います。
