同族嫌悪を減らせば人付き合い・人間関係がグッと楽になる!

あなたは他人に対して「この人なんか嫌いなタイプ…」「なぜかイラっとする」と思ったことがあるでしょうか。誰にでも苦手なタイプの人がいたり、ついイラっとしてしまう言動があったりしますよね。あなたが苦手だと感じている人、イラっとしてしまう言動はどんなものでしょうか?

  • 自己中心的な人
  • 男性の前でだけ態度を変える女性
  • 人脈を自慢する人
  • 公共の場で騒ぐ行為

人それぞれ嫌いなタイプの人やイラっとする言動がありますよね。ですが、この「嫌いなタイプの人」と「自分」はもしかしたら『似たもの同士』かもしれないのです。

 

自分が嫌いな人と自分が似ているということは、受け入れがたいことかもしれません。しかし、そのことに気づき、受け入れることで今までより人付き合いが楽になるかもしれません。

 

同族嫌悪と人間関係

上記で、あなたとあなたの苦手な人は似たもの同士であるという可能性を指摘しました。「同族嫌悪」という言葉も聞いた事があるはずです。これには、心理学における『シャドウ』が関係しているかもしれません。

 

『シャドウ』と言われても、「聞いたことがない」「一体何なの?」と思う方も多いかもしれませんね。また、この『シャドウ』は対人関係にどのような影響を与えているのでしょうか。ここからは心理学での『シャドウ』についてのご説明、そして『シャドウ』が対人関係に与える影響とそれを受け入れる重要性についてお伝えしていきます。

 

『シャドウ』ってなに?

ユングが提唱した無意識論の中に『シャドウ』という言葉が登場します。自分の「抑圧された欲求」や「認めたくない欠点」のことを心理学では『シャドウ』と言います。

 

対人関係において、「なんとなく嫌い・苦手」「生理的に受け付けない」という否定的な感情を伴う相手や行動には、自分が抑圧している欲求や認めたくない自分の欠点である『シャドウ』を投影している場合が多く、そのため無意識のうちに相手を拒絶してしまうのです。

 

つまり、あなたが「苦手なタイプ」「イラっとする言動」などは、普段あなたがやりたくてもできないことや自分では認めたくない欠点を相手が持ち合わせているということなのです。

 

なぜ腹が立つの?

例えば、公共の場で、大声で騒いでいる若者を見た時。「若くて元気がいいなあ」と思う人もいれば、「公共の場で騒ぐなんて、うるさいしあり得ない」と憤りを感じる人もいるでしょう。後者の場合、なぜ公共の場で騒ぐ若者に腹が立つのでしょうか。

 

その背景には、

  • 親から「公共の場では静かにしなさい」と言われてしつけられた
  • 自分も友人とワイワイ騒ぎたかったが、それができなかった

 

などの理由が考えられます。親からのしつけで、公共の場では「大声で笑う・泣く」などの感情表現ができなかったり、友人が少なく仲間同士でワイワイ騒ぐということをあまりしたことがなかったりという過去が自分の心の奥にあった「抑圧された欲求」や「認めたくない欠点」を刺激している可能性があります。

 

一生懸命ダイエットをしているときに、目の前で美味しそうにケーキを食べられるとイラっとしますよね。

 

「本当は自分もやりたいのにできないことを他人がやっているからイラっとする」「目を向けたくない自分の欠点に似た要素を持っている相手を苦手と感じてしまう」という心理が働いて、相手に苦手意識やいら立ちを感じてしまっているのです。

 

この心理を理解して、自分が苦手な相手やイラっとする行動を思い返してみてください。自分の抑圧された欲求や認めたくない欠点を苦手な相手が持ち合わせている可能性を否定できないのではないでしょうか?

 

  • 金持ちで偉そうにしている人に腹が立つ場合→「自分がお金がない状態でお金持ちになりたいのかも知れません」
  • 男性の前で態度を変えて上手く甘えている女性が苦手な場合→「あなたも本当は上手に男性に甘えてみたいと思っているのかもしれません」
  • 自己中心的な発言をしている人に腹が立つ場合→「他人に気を遣わず、自分本位に物事を進めたいという気持ちがあるのかもしれません」
  • SNS上でちやほやされている人にイラっとする場合→「本当はたくさんの人から注目されたいという欲求を抱えているのかもしれません」

 

このように、自分に直接的な利害がないにもかかわらず、他人に苦手意識や怒りを感じてしまう場合、これはシャドウの心理が働いている可能性が高いでしょう。「苦手な人が多い」「よく他人にイライラする」という人は自分の中に抑圧された欲求を多く抱えているのかもしれません。

 

また、心理学でいわれている『シャドウ』は自分の「抑圧された欲求」や「認めたくない欠点」など、ネガティブなものをイメージしてしまいますが、ポジティブな欲求を抱えているという場合もあります。

 

例えば、誰にでも優しく親切に接することができる人に対して苦手意識やいら立ちを感じている場合

「八方美人だ」「偽善者ぶっている」「何か裏があって親切にしているはずだ」

というように特にその人に恨みがあるわけでもないのに腹が立ってしまいます。

 

そのような場合は、「本当は自分も誰にでも分け隔てなく親切に接したい」という欲求があるということなのです。その欲求を「八方美人だと思われたくない」「偽善者ぶっていると言われるかも」などの理由から抑圧しているため、いら立ちを感じてしまいます。

 

このように、『シャドウ』にはネガティブな欲求だけではなく、ポジティブな欲求を抱えている場合もあります。

 

シャドウを受け入れると楽になる

『シャドウ』が自分の心のなかに抑圧された欲求であること、そしてその欲求を抑圧しているため、利害関係のない相手に苦手意識やいら立ちを感じているということをご理解いただけたでしょうか。では、どうすれば苦手意識やいら立ちを感じずに、上手く人付き合いができるようになるのでしょうか。

 

抑圧している欲求によっていら立ちを感じているなら、それを開放すれば良いのではないかとも考えられます。確かに欲求を開放し、自分の欲求のままに生きることができれば、他人にいら立ちを感じないかもしれません。ですが、あなたが自分の欲求を抑圧していることは、一概に良い・悪いと判断することはできません。

 

例えば、顔が広く人脈を自慢する人に腹が立つ人は、「本当は自分もたくさんの人と交流したい」という欲求を抱えているのかもしれません。その場合、欲求を開放して自分から積極的にたくさんの人と交流を持てばいら立ちは解消されるでしょう。

 

この場合、欲求を開放しても他人に迷惑がかかることもないので特に問題ありません。

 

ですが、自己中心的な人に苦手意識を持っている人は、「本当は自分も周りの人に気を遣わずに自分の気持ちの赴くまま行動したい」という欲求を抑圧しているのかもしれません。その欲求を開放したとき、自分は他人に怒りを感じることもなく、自分の思うまま行動できて気分が良くなるかもしれません。ですが、周囲の人に一切害がないと言い切れるでしょうか?自己中心的な思考や行動によって、仕事仲間や友人に迷惑をかける可能性がないとは言い切れません。

 

以上のことから、一概に欲求を開放すれば良いとは言い切れないのです。

 

では、どうすればいら立ちを感じず、人付き合いが楽になっていくのでしょうか。そのコツはシャドウを開放するのではなく「受け入れる」ということです。

 

もし誰かに苦手意識やいら立ちを感じた時には、「自分にもあの人みたいにしたいという欲求があるのだ」とシャドウを受け入れてみてください。なぜなら、あなたが怒りやいら立ちを感じているのは、その「相手」ではなく自分の中に抑圧された「欲求」に対してだからです。問題は相手にあるわけではなく、自分の中にあるということです。

 

それを冷静に理解できると、自然と相手への怒りや苦手意識も消えていくはずです。「あの人が悪いわけではない」「自分の欲求の問題だ」と理解することができれば、相手に対して怒りを感じるのはお門違いだということもわかってきますよね。

 

他人に対して苦手意識やいら立ちを頻繁に感じてしまうという方は、自分の欲求を理解し、受け入れてみてください。そうすることで、人の不完全な部分も受け入れられる心の余裕が生まれてくるはずです。

 

また、自分の感情に対して理解して「シャドウ」によってだと名前をつける事で、苛立ちも整理しやすく落ち着けます。例えば、ただ「何一つ気持ちが乗らずに体調が悪い」状態で過ごすよりも、「うつ病」としっかりと名前がある症状として診断される事で、自身の症状を受け入れ落ち着く事が出来ます。

 

まとめ

「自分自身を愛せなければ、他人を愛することはできない 」とよく言われます。

 

人は誰しも「苦手だな」と感じてしまう人はいます。ですが、その相手とも上手く付き合っていけるようになりたいですよね。もし、あなたが苦手意識やいら立ちを感じてしまう相手とも上手く付き合えるようになりたいと考えているなら、自分自身を認めることから始めていきましょう。

 

自分の欲求を認め、受け入れることができるようになれば、相手の欠点や不完全な部分も受け入れられるようになるでしょう。自分の欲求を知れば、今までいら立ちを感じていた相手にも「自分と同じ欲求を持った人」だという認識ができるようになります。

 

自分のシャドウに気づき、それを受け入れることで、今までよりも人間関係が楽になるかもしれません。

 

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