「友達ができない」と悩む人の傾向・特徴!仲を深めるコツ!

「対人関係」に関する悩みは、最も多いご相談内容の一つです。学生の相談をうけていると、ここ最近は、特に、「はじめまして」以降が苦手、顔見知り以上友達未満の関係に悩んでいる方からのご相談が多い印象です。

 

「大学に入ってから友達ができないことに悩んでいます。大学の授業で、偶然、隣の席に座った人と、あいさつをして、当たり障りのない会話をしました。でも、顔見知りになったら、返って気まずいような感じがしてしまって、そこから仲を深めることができません。友達を作るにはどうしたらいいのでしょうか。」

 

知り合った後、どのように仲を深めていったらいいのかが分からないとのことなのです。今回は、なかなか友達ができない理由とどうすれば人との仲を深めていけるのかを解説していきます。

 

友達ができないと悩む人の傾向・特徴

1.あなたが理想とする友達像は?

周りを見ると、自然と親しくなっていて、いつの間にかグループになっていて、私だけひとりぼっちのような気がする・・・私にも、そのような経験があるので、あの状況の、寂しさというか、気まずさというか、いたたまれなさは痛いほどわかります。

 

あなたの求める「友達」とはなんでしょうか?どんな付き合い方ができればその悩みがなくなるでしょうか?

 

気軽に話せて楽しいことを共有できるのが友達と思う人もいれば、なんでも本音で話せて助け合えるのが友達と思う人がいたり、一緒にショッピングをしたり映画を見に行ったり出かけられたりするのが友達、という人もいるかもしれません。

 

その理想は、あなたの中に、いつ、どんなふうにできたのでしょうか?他の人がお友達同士で話しているのを見て「私もあんな風になりたい」と思ったのかきっかけであったり、ドラマや漫画などのイメージできあがった友達像であったりするかもしれません。

 

あなたの理想とする友達像とその理想がどんな経緯で出来上がったのか、それを振り返ってみてください。

 

人は理想とギャップを感じる時に「悩み」になります。理想を持っていること自体は、問題ではありませんが、友達ができないと悩む人は、友達関係に求めるものが高く、枠が狭い傾向が見られます。

 

2.友達ならこうあるべき?

友達関係に、正解はありません。「完璧な友達の理想像」なんて、実は、ないのです。ないはずなのに、「友達ならこうあるべき」と思い込んでいるのです。人は、多かれ少なかれ、「こんな友達関係がいいな」というものは持っています。私もあります。ただ、その程度が強くなりすぎると、がんじがらめになってしまいます。

 

友達ならお互いに本音を話さなければならない、友達なら話が合わなくてはならない、友達なら一緒にでかけるべき、友達ならお互いに助け合うべき・・・、「~べき」、「~でなくてはならない」、「普通は~だ」、そのような考え方のクセを認知療法では「べき思考」と呼びます。

 

その「べき思考」は、自分も相手もその枠に当てはめてしまいます。相手に本音を話せない自分は友達ができないとか、周りの人とは話が合わないから友達はできないとか、そうなると、身動きが取れなくなってしまいます。

 

いきなり気軽に話せなくても、いきなり本音で語れなくても、話が合わなくても、そんな友達関係もあります。話が合わないなら合わないなりに相手の話に疑問を持って聞くことができます。

 

価値観は人それぞれ、友達付き合いも様々。いろいろな形があります。自身の「~すべき」をとらえ、疑問を投げかけてみましょう。

 

3.友達は簡単にできると思っている

これは、カウンセリングをしていての印象なのですが、友達ができないと悩む人に共通することの一つが、簡単に友達ができると思い込んでいるということです。

 

「簡単にできると思っているわけないだろう」と反論が聞こえてきそうですが、これは「普通は、簡単に友達ができるはずなのに、その簡単なことが自分にはできない」、そう思っている人が多いということです。

 

なぜだか、「周りの人は、自然と仲のいい友達ができて、遊びに行っている」と感じてしまうのです。本来は、自然に友達ができているように見える人も、出会った瞬間から「友達」だったわけではありません。ましてや、「友達」という契約的な関係でもありません。

 

中には、なんの苦もなく誰とでも仲良くなれる人も存在しますが、そんな人はごく稀です。ほとんどの人は、緊張もしますし、勇気がいる行動に伴った結果であるのです。簡単にやっているわけではありません。

 

あいさつをする、他愛もない会話をしてみる、相手のことを知る質問をしてみる、そんなふうに距離を少しずつ縮めていく過程を経ています。それでも、すぐに親しくなれるわけではありません。友達は、小さな小さな積み重ねの結果、成立する関係です。

 

また、そのような積み重ねで友人関係に発展する相手もいれば、時間をかけて距離を縮めても友人関係には発展をしない人もいます。友達が多い人は、その段階をめんどくさがらずに、相手一人一人に興味を持って、プロセスを大切にしていける人です。逆に言えば、このプロセスなしに友達を作ろうとしている人は、なかなか友達ができないんですよね。

 

まずは、「友達を作ろう」と力みすぎず、「少しでも、人との距離を徐々に縮めていけたらいいな」という意識を持ってみてください。

 

4.友達づくりは手段?

友達ができないと悩んでいる人の中には、本当に友達が欲しいと思っているのかな?と感じる人も多いんです。

 

「あなたが、友達がほしいと思う理由は何かあるのかしら?」と尋ねると、「自分の話を聞いてほしい」、「お昼を一緒に食べる人がほしい」、「テストの過去問を見せてもらえる友達が欲しい」とか、そんな答えが返ってくるんです。

 

友達であれば、あなたの話を聞いてくれるだろうし、お昼も一緒に食べるだろうし、テストも一緒に乗り越えられるように協力してくれるかもしれません。

 

ただ、それを目的に、友達を作ることを手段としようと思ってもなかなか難しいんですよね。なぜなら、そのために簡単ではないプロセスを乗り越えなくてはなく、目的のためだけの存在ではないから。

 

友達になったところで「友達ならお互いに協力するべき」という考え方のパターンができていると、友達が期待した行動を取ってくれなかった時に、友達に対して「私はここまでしてるのにどうして」という葛藤も生まれてしまいます。

 

友達は寂しさを埋めてくれるだけの存在でも、助けてくれるだけの存在でもありません。イライラさせられる時もあります。わずらわしいと感じる時もあります。嫌なところもだんだん見えてきます。それも含めて友達です。

 

「あなたと友達になりたい」という人がいた時、「お昼を一緒に食べる相手がいれば誰でもいいけど、とりあえずあなたでいいわ」という人よりも、あなた自身を見てくれる人、あなた自身と友達になりたいと思ってくれる人がいいのではないでしょうか。

 

自分自身の友達がほしいという動機はどこにあるのか見つめ直してみてください。そして、まずは、あなただったらどんな人と友達になりたいか、相手のことを一人の存在として大切にできるような、そんな存在になることを目指してみてください。

 

人と仲を深めるコツ

1.友達は作ろうとしてできるものでもない

友達は作るものではなく、いつの間にか自然にそんな存在になっているなっているもの、なんていう人もいます。確かに、相手があることなので、作ろう作ろうとしてできるものでもありません。

 

一方で、なんの行動をしなくても、いきなり親しい人ができる、というわけでもありません。何かきっかけがあり、何かの働きかけはあるものです。なので、本当に人と友達になりたいと思っているのであれば、「何もせずに」待てばいいとも思いません。

 

ふとしたタイミングや運は、行動の後から付いてくるもの。仲を深めるための行動とは、「友達になれるかどうかはわからないけど人と距離を縮めていくプロセス」の段階を踏むことです。

 

「友達になれるかどうかはわからない」というのは、「友達を作らなきゃいけないから、人と距離を縮める」ではなく、人との距離を少しずつ縮めていく段階で、ふと気がつくと友人になっている、そんな感覚です。

 

なぜ、そこを強調するのかと言えば、目の前の相手を尊重し、相手を理解しようという意識がコミュニケーションの姿勢にも現れるからです。恋愛に例えるとわかりやすいかもしれませんが、下心って自然と伝わっちゃうじゃないですか。あれと同じようなものです。

 

逆に、繰り返し会って話していくうちに、誠実に向き合ってくれる人だな、私のことをしっかり見てくれてるな、理解しようとしてくれているなということに気づいたら、最初は何とも思っていなかった相手の人柄に惹かれていた、ということってありますよね。

 

友人関係も、少しずつ関係を築いていき、「信頼できる人なんだ」と、お互いに警戒がとける段階なしには、関係は成り立たないものです。相手と向き合い、相手のことを知り、自分のことを知ってもらうことが欠かせません。

 

中には、「友達は簡単にはできない」その真意を知ったとき、正直に「自分にはその段階を踏んでまで友達を作ろうとは思えません。面倒だと思います」と打ち明けてくれた方がいました。

 

友達がいるかいないか、多いか少ないかで、人生の豊かさやあなたの価値が決まるわけではありません。その上で、「友達がいなくてもいいと思える自信をつけていく」という決断をするのも選択肢の一つかもしれません。

 

2.時には自己開示を

相手のことを知り、自分のことを知ってもらうためには、自己開示も必要になってきます。自己開示とは、誠実に率直に自分について伝えることです。

 

「自己開示」という言葉を聞いたことがある人は、自分の経験や内面を隠さずに晒さないと相手にも心を開いてもらえないのか、とプレッシャーに感じたかもしれませんが、そればかりではありません。

 

自分のことを表現しなくちゃ!、うまく話さなくちゃ!とは、思わなくてもいいのです。ただ、何を考えているかわからないと相手も不安になることがあります。

 

「私、いざとなると緊張してしまって、うまく話せないんです」、「口下手だけど、仲良くなりたいと思っています」、「笑顔が作るのが苦手だけど、楽しいと思っています」、とか。その時の気持ちを伝える努力をしてみてください。

 

うまくなくても、たくさんじゃなくても、言葉に詰まっても、自分のことを一生懸命話そうとしてくれているんだなということが伝われば、それは健気に見えます。おしゃべりが上手で明るく友達が多い人も確かに魅力的でしょう。一方で、コミュニケーションが苦手な人でも一生懸命な人は別の魅力があります。

 

仲良くしたい気持ち、自分を知ってほしい気持ち、それをどのように表現するのが自分に合っているか、無理をしないスタイルを見つけてみてください。

 

3.1人、1ヶ所、に拘らなくていい

他の人と、少しずつ話せるようになり、友人関係に至っても、すぐにフェードアウトしてしまうという事例がありました。

 

お話を聞くと、「趣味を聞かれることがあるんですけど、趣味の話をするのは苦手なんです。自分でも、話せるようになりたいとは思います。だけど、どう思われるのか気になってしまって・・・同じ趣味を持った友達がほしい」とのこと。

 

自分自身が、知り合った人と友達になりたいというモチベーションがあまり高くない場合があります。自分はどんな人と友達になりたいのか、友達が欲しいと思った動機を知ることが大切です。

 

そして、自分が今所属しているコミュニティ(学校や職場)にとらわれて、「ここで友達を作らなければ」と極端に考えてしまいがちですが、自分と共通するコミュニティに出かけて、別の居場所を見つけていくことも一つの方法だと思います。

 

例えば、好きなアニメのイベントに行くとか、絵画のカルチャースクールに通ってみるとか、スポーツジムに行ってみるとか、方法はいろいろあります。また、「私にはこの人しかいない」、「私にはこの場所でしかない」、と思うと、依存的になってしまったり、距離感がわからなくなってしまったり、ということがあります。

 

それは、相手も自分も疲れてしまう原因になります。他の居場所ができると、心にゆとりができます。

 

多ければ多いほどいいというわけではありませんが、1つのコミュニティに依存せず、それぞれと距離感を保ちながら付き合っていくことで、安心できる関係を築けることがあります。

 

まとめ

  • 友達ができないと悩む人には、共通点やいくつかの傾向が見られます。4つ取り上げました。
  • 人と仲を深めるコツは、「友達を作らなきゃ」と力み過ぎず、相手のことを尊重し、相手を知り、人との距離を縮めていくこと。
  • そして、時には、自己開示をする努力をすること。
  • 今あるコミュニティだけにとらわれず、自分が友達になりたいと思える人がいるコミュニティに出かけてみること。そして、「この人しかいない」、「この場所しかない」と依存し過ぎず、距離感を保つこと。

 

知り合っても人との仲を深めることができずに悩む方の傾向について、考察をし、人と仲を深めるコツについてお話をしました。

 

自分にとっての友達について、枠をすこし緩め、自分や相手に課している「こうあるべき」をすこし緩め、目の前のその人を大切にしてみてください。そして、いくつかの居場所を見つけてみてください。

 

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