「職場を辞めたい」「職場を辞めたい理由」で検索すると、良好な関係で辞める方法や印象の良い辞め方というような記事にたくさんヒットします。これは、職場を辞めることに後ろめたさを感じてしまう人がいかにたくさんいるかということを物語っています。結婚や出産という大義名分なく職場を辞める時の理由の多くが「人間関係」であるということが推測されます。
人間関係で職場を辞める時、どうやったらスムーズに、そして印象が悪くならない方向で職場をやめることができるかという方法を求めている人が多いのでしょう。
人間関係で仕事を辞めるということについて考えていきましょう。
職場での人間関係
私たちは必ず人と関わって生きています。職場でも同様です。
IT企業や機械工場など、直接的に人と触れ合わない業種であれ会社に属している以上は職場の人間関係がそこにはあります。この先、どんなにAIが浸透しても変わらず人と人との関りは続いていきます。
職場での人間関係を理由に退職する人が実はかなり多いと考えられることから、先ずは職場で発生する人間関係について整理しましょう。
職場で発生する人間関係
- 上司との人間関係
- 部下との人間関係
- 上司と部下との間に挟まれた人間関係
- 同僚との人間関係
- 1~5の総合的な人間関係
職場の人間関係は、大きく分けると以上の5つに分類されます。このことから、職場ではそれぞれの立場や立ち位置によって人間関係にストレスが生じるということが分かります。
職場の人間関係に悩む時
では、職場を辞めたいと考えるほどの職場の人間関係とはどういう事態なのでしょう。先に分類した5つについて詳しく見ていきます。
職場で発生する人間関係による悩みや苦痛
1、上司との人間関係
パワハラ、上司を尊敬できない、上司が自分を理解してくれない
2、部下との人間関係
お局扱いをされる、部下に馬鹿にされる、部下に仕事を振れない、かみ合わない
3、上司と部下との間に挟まれた人間関係
上司と部下の間に立場にあって割が合わない、自分だけが損をしている、孤立
4、同僚との人間関係
仲間外れ、関係の変化(独身・既婚・出産など)
5、1~5の総合的な人間関係
陰口やいじめ、孤立
大まかにですが、これらの事が表立って、或いは自分の中で深刻化していくと「退職」という想いが強くなっていくと考えられます。
人間関係で職場を辞める前に考えてみること
しかし、少し待ってください。職場での人間関係で生ずるストレス、悩み、苦痛を整理してきましたが、本当にこれらのことが深刻化し自分を追い詰める前に、1つだけ考えておかなければならないことがあります。
それは「職場で」の人間関係であるということです。今の時代、人は誰しも対等であることや権利を主張することが当たり前という風潮が強くなっています。しかし、職場では上司と部下という関係の中では当然、立場の違いがありますそこには当然、勤務年数や業績、仕事の経験に差があります。
中には経験や根性論ばかりを振りかざす上司もいるでしょう。しかし、それらを差し引いても少なくとも部下よりはその職場ではベテランであることに間違いありません。
何が言いたいのかと言うと、上司との人間関係で職場を辞めたいと考えている人は、本当にその上司の態度や発言の中にあなたへの愛情がないのかということを見極めなければならないということです。また、上司はあなた自身に愛情がなくても、会社には愛情を持っている人かもしれません。
会社に愛情があるのなら、一個人への配慮が欠けても良いということでは決してありません。しかし、そのことに心を留め、上司に対する見方を少し変えることで自分自身が全否定されているのではない、ということに気が付くことができるかもしれません。
そのことを知ることで職場を辞めることを踏みとどまるべきだ、ということを述べているのではありません。大事なのは、相手の見方を変えると、自分の気持ちが楽になることができるかもしれないということです。そしてそれは、人間関係で職場を辞める時の後ろめたさが軽くなり、次の職場で働く時の心構えとして生かすことができることかもしれません。
職場という場所で出会ったしまった人たち
職場での人間関係は上司、部下、同僚といったそれぞれの立場で構成されています。会社では、友達や家族とは異なり、相互の立場を重んじて一定の我慢や納得をしながら関わることになります。それは、職場で出会った人間同士だからです。もしも、職場で出会わなければ…、嫌な上司と同僚として出会っていたら…と考えると人と人との出会いは偶然であることに気が付きます。
人間関係で悩んでいる人からみたら、それは不幸な出会いでしかないかもしれません。しかし、この偶然が生んだ人間関係は互いのことを理解し合うにはあまりに情報がなさすぎるのです。職場というごく限られた空間で、初めから会社での立場が決まっている中で目が覚めている一日の大半、関わらなければいけない関係です。
「会社の人でしかない」というある意味不運な出会いでは、どちらか一方的が相手の人間性までを否定することも、自分を卑下することも到底できる関係ではないのです。このことから、もしも会社の人間関係で我慢ならない相手がいる人は、気持ちに余裕があれば相手を別の見方で見て理解する努力をすると良いでしょう。
そして、本来なら受け入れることができる余地がある人だと頭で理解していても、どうしても職場での立場では許容しがたい関係だと判断するならば、職場を変えて環境に身を投じるのも間違いではありません。人間関係による悩みやストレス、辛さは心身の健康を損ないます。
会社を辞めることを「逃げ出す」「甘え」などとは考えずに自分を守るということは間違いではありません。冒頭で触れましたが、職場を辞めることに後ろめたさを感じる必要はないのです。
職場の辞め癖に注意
最後に、人間関係で仕事を辞める時の注意点をひとつ。会社をひとつ辞めることで、いくつもの会社を短期間で転々と辞め続ける人がいます。私の経験や身の回りを見ると会社を渡り歩く人の中に、どこの職場でも人間関係を理由に辞めている人が多いです。
上司や部下、配属された部署など職場での立場は変えることは容易にはできませんが、人間関係は育てるものです。それには相互の努力と歩み寄りが必要になります。職場は仕事や目標という中心軸に人間が集っています。
極端な言い方になりますが、会社では目標が達成できることが最優先です。そのため、人間関係では仕事が円滑に回る様、最低限のコミュニケーションが図ることができれば良いのです。家族や友達、恋人のように自分を理解してくれないからと言って嘆く必要もありません。そして、そのこと自体、最初から期待したり求めたりせず、割り切った方がストレスは少なくなります。
「職場での人間関係が上手くいかないのよ」とすぐに感じてしまう人は要注意です。上司の振る舞いや周りからの自分の扱いが多少意に沿わなくても、与えられた仕事を自分がこなし、その仕事が必ずどこかで役に立っていると理解しましょう。
職場では、誰にも褒められなくても、その仕事を続けることで初めて自分の価値が上がっていくことが常です。辞め癖がつく前に、一度「それでも続けてみる」ということも大切です。そのことでおのずと人間関係も育っていくからです。
人間関係で職場を変えた人だからこそアップする適応力
「人間関係が上手くいかないことはどこに行ってもあること」
人間関係で職場を辞める時に親や友達に一度は言われるかもしれません。しかし、職場を辞める当事者にとってそれはわかっていていることなのですが、仕方がないのです。
人間関係で職場を辞めた人は、自分を守るために辞めているので自分を責めてはいけません。
「辞め癖がつかないように気をつけよう」という話をしたので、そのことで落ち込んでもいけません。人間関係で職場を変えた人だからこそ適応力がアップすることもあります。
それは、人間関係に難があっても他のことに価値を見出す力が備わってくるからです。具体的には、いくつかの職場を経験すると多少の人間関係よりも、勤務条件が自分に合っていたり、職場環境が気にいる職場に出会うことがあります。
「多少嫌味な上司が居ても、給料がいいから乗り切ろう。」
「お局さんの存在が気になるけど、休みがとりやすい職場だから続けよう。」
という気持ちになるのです。
これは、人間関係で職場を辞めたことがある人だからこそ感じられることかもしれません。
まとめ
いつの時代も職場での人間関係の難しさはあるものです。会社の上司が新入社員だった時や自分の親も経験していることです。しかし、今のご時世はハラスメントや様々な雇用形態、クレーマーなど職場を取り巻く様々に人間模様が相まって、職場でのストレスは増大です。社員全体が相手のことを思いやる余裕がない時代なので、自分で自分の心の健康を守ることが大切です。
職場を転々とする人は実は繊細で真面目なタイプなのかもしれません。少しズルい考えをもって、人間関係よりも給料や福利厚生、立地や環境について自分にとってメリットがあるならそれを良しとすることも必要です。