失礼な人なんて、なるべく隣近所にも職場にも親戚にもいてほしくないものですよね。でも必ずいるのが失礼な人というものです。身近にいるさまざまな失礼な人の特徴を少し系統別に見ていき、それらに対する対処法を考えていきましょう。
失礼な人は何を考えて失礼なことをしているのか
あなたに対して失礼な人は、いったい何を考えて失礼な態度をとるのでしょうか?あなたを傷つけたいからでしょうか、それともあなたを自分より下に見てるから?あなたのことなんか歯牙にも掛けていないから失礼な態度をとるのでしょうか?
どれも正解であり、不正解です。明白なのは、あなたが失礼と感じる言動を相手が取ってきた、という事実だけで、相手の内実まではわかりません。あなたが「私を傷つけたくてこんなこと言ってるんだ」と思ってしまえばそうなりますし、本当に相手がそのように思っているかもしれませんが、違うかも知れないのです。
つまり、あまり考えすぎないようにするのが正解なのではないでしょうか。失礼な相手の態度に対して、深く考え込んだり、勝手に斟酌したりせず、相手が失礼な態度を取ってきた、という一事だけを冷静に受け止めるのです。なかなか難しいことではありますが、ここで怒ってしまうようなら「6秒我慢して心を落ち着ければキレずに済む」という怒りの感情をコントロールするためのアンガーマネジメントという方法を試してみるといいでしょう。
ともあれ、事実だけを受け止めて深く考え込まないのが、精神的にも良い方法なのかもしれません。怒らずに冷静に考えられるならば、失礼な人が取った失礼な言動について客観的な思索を深めてみるのもいいかもしれませんが、怒りの感情が少しでもある場合は、やめておいたほうがいいでしょう。あなたが怒った原因についていつまでも頭を巡らせてしまうのは、健康的ではありませんし、あなたの心を疲弊させてしまう良くない思考なのです。
タイプ別・失礼な人の特徴7選
失礼な人が何を考えてそうしたのか、内実まで知ることは難しいですが、失礼な人の言動を見ているとなんとなく系統が見極められます。そうした、失礼な人が持つ特徴をタイプ別に整理し、見ていきましょう。
失礼な人は、あなたに攻撃するために失礼なのではなく、ほとんどは失礼な人自身の事情で失礼なのだ、と、客観的に捉えるようにしましょう。タイプ別に7つ挙げてみましたが、以下を、失礼なことをされたときに自分の怒りを抑えたり心を守ったりするための参考にご利用ください。
タイプその1:言葉遣いが悪い人
まだ年齢が若いとか、社会経験が少なかったり独りでやるタイプの仕事が多かったりで、他人に対する言葉遣いがなっていない人です。もともと居住まいや言葉遣いが悪く、それを改善する機会に巡り合えなかったタイプですね。
タイプその2:無意識に失礼な人
何も考えず、自分の立場も相手の立場も把握せずに行動する、デリカシーのないタイプです。悪気なく、失礼な言動を連発し、学習しない人ですね。
タイプその3:自己中心的な人
自分中心でないと気が済まないため、目立とうとして周囲を貶めてしまう失礼な人です。自分が最も正しいと考えるタイプに多く、周囲に失礼な言動を押し付け続けることが多いでしょう。
タイプその4:精神年齢が幼い人
失礼な人は、いい年をして精神年齢がやたら低いように見受けられることがあります。まるで小学生男子が、お母さんの気を引くために駄々をこねる、泣きわめく、ように、失礼な態度を取る人です。
タイプその5:体育会系の洗礼を受けていない人
そもそも、年上の人間に対して敬語を使うという観念が薄く、例えば体育会系の部活などでの経験がなく、年齢で敬語を使うことが身に染みついていない人です。良くいえばフレンドリーで気さくなタイプの人間ですね。
タイプその6:性格が悪い人
相手に嫌な気分を与えて留飲を下げたいだけの、ただ性格の悪い人間です。相手をするだけ無駄な、怒り損なタイプですね。
タイプその7:悪意で失礼な人
あなたのことが嫌い、あなたのことが邪魔で、わざと失礼な態度を取る人です。こういう人は、あなたが邪魔でなくなったり嫌いと思うほど気にも留めなくなったりすると、失礼な態度は緩和されていくでしょう。例えばあなたの彼氏が好きで横恋慕したい女性とか、職場であなたの能力に嫉妬し立場を狙っている人などです。
失礼な人への対処法
失礼な態度を取ってくる人への対処の仕方は、相手の失礼な態度に乗らないようにすること、が一番の大前提になってきます。失礼な人の言動に対して激怒してしまったりするのは最悪の選択肢でしょう。
例えば、デリカシーのない質問を連発するような失礼は人に対して「こんな質問をして私の気分を悪くさせてサイアクな人だ」と思ってつん、と無視する、というのもひとつの手ではありますが、これでは無視するまでにひとつ怒ってしまっていますよね。「無視」という方法は選択肢のひとつではありますが、怒りの感情から「無視」する手段に出た場合、あまりいい手にはなりません。
しつこく質問されるのが嫌だったり、デリカシーのなさにいらいらしたりするかもしれませんが、あえて怒る感情を選ばずに考えてみましょう。また、怒ってしまったのならアンガーマネジメントにもあるように「6秒」落ち着いて怒りを四散させてみてください。それから、失礼な相手に対処してください。
とりあえず質問は全部聞くが、答えるかどうかはあなた自身の判断で決めるとか、質問に答えたくないなら「いやあ、それはちょっとねえ」などと柔らかく拒否するなど、怒らなければ社会人らしい選択肢はいろいろ出てくるでしょう。
失礼な人に対処する上で楽な良い方法は、以下の2つです。
①つきあわない
②観察して予測し備える
①は、そもそも論ですが関係を絶つ方向へ向かうことですね。話しかけられても無視し、関わらないようにしておけば、失礼な人はあなたに絡むことはなくなるでしょう。ただし、人間関係に亀裂が入りかねない対処法ですので、使用は時と場合を考えたほうがいいかもしれません。例えば二度とかかわらないような旅先で出会った人だとか、店でたまたま近くに座った人などですね。
通常の関係性で空気を保ったままに離れていきたい場合、ちょっと大人な対応で相手の失礼な言動は微笑んでスルーし、じわじわと距離を取っていくのがいいでしょう。
しかし、立場的にどうしても付き合っていかなければならない相手な場合は、②の方法を試してみましょう。失礼な相手の言動を良く観察し、何を言ってくるか何をしてくるか予測しておくのです。予想が頭の中に組み立てられていれば、いきなり失礼なことをされてもある程度の心の余裕があり、予測しておいたことがクッションになってくれます。例え予測が外れてしまったとしても、あなたの心が受ける打撃は少しはましになることでしょう。
失礼な人に対する正しい対応ベスト5
失礼な人に対して、その態度にキレてしまっては元も子もありません。怒るのは、一番まずい対処法です。アンガーマネジメントを駆使していけば良いですが、失礼を何度も積み重ねられたらそのたび6秒数えるのも、なかなかつらい時間の繰り返しになりますよね。
怒りの感情の制御は大事なことで、「怒らないで対処する」ことはとても重要です。怒ると、どうしても周りに気付かれてしまいますから、そうなると、あなたの怒りに気付いた相手にとては何を言われても嫌味にしか聞こえない状態になりかねません。
怒りそうになったら深呼吸をして、冷静になって対応する、もしくは、自分の中で怒りという感情を選択する前に、目の前の失礼な人に興味を持ってみませんか。
「この人はなんでこんなに失礼なんだろう」「どうしてこんな行動を取って周りを不快な気分にさせるのかな」などと考えてみることです。少し第三者的な客観的な物の見方を身に着けて対処していくほうに心を向けてみると、より建設的な方法が見つかるかもしれません。
やめろと言う
失礼な人と親しい間柄だったり職場で長く一緒にやっていかなければならない同僚だったりするなら、はっきりと「こういうことはやめてほしい」と相手の気になる言動を指摘してお願いすることです。
コミュニケーションが取れている相手なら「これこれこういうことが私には侮辱的で失礼だと感じるんだ」と説明すれば、分かってもらえるでしょうし、分かった上であなたを大切に思うなら、その失礼な人も少しは言動を控えてくれるでしょう。
失礼な人の思いやりに期待できないのなら「あなたのこういうところが苦手なので、私に対してはやめてもらえるかな?」と、はっきりお願いする手もあります。失礼な人の失礼な言動を指摘して「こういう行動はあり得ないからやめてください」「こんなことはやるべきではない」などと、上から目線で口を出すのはやめたほうがいいでしょう。あなたに対しての言動のみにしぼって「私はこんなに困っているから、どうかやらないでくださいね」とお願いしてみることです。
やり返す
失礼な人にやられた失礼な言動を、やり返してみるのも効果的です。無論、何度も前述してきていますように、怒ってやり返してはいけません。失礼な人の失礼な言動に対して感情的にならず、少し突き放して客観的に見ることができたなら、やり返してみて失礼な人の反応を見てみましょう。
失礼な人に目の前にバンッと書類を置かれたなら、その書類を返すときに同じようにバンッと机をたたくように置いてみてニヤリと笑ってみせるとか、「今日、メイクおかしいね、はははっ」と嘲笑されたなら「あなたはいつも行動が奇抜でおかしいよね」とにっこり笑って返すとか、冗談で返してるんだよ、と言えるように遊びを残したやり返しをしてみてください。
失礼な相手がその言動を恥ずかしくなって辞めてくれるよう仕向けるため、冷静に、なんなら笑いながらやれるのでなければ効果は期待できないでしょう。
敬語を使って話す
失礼な人は、今まで周囲の人間に失礼な対応しかされてこなかったから、他人に対する対応として周囲に「失礼だ」と評価される言動しか知らない、という場合があります。つまり、経験が足りなかったりして、自分の行動がいかに失礼なのか、ということに思い至らないタイプですね。
そういう人には直接注意するのも手なのですが、お互いの信頼関係ができていない場合、また失礼な人が素直な性格をしているか否か、で、結果が変わってきます。注意、が人間関係をこじらせる原因にもなり兼ねませんので、よほどしっかりとした関係が構築できていない限り、やめておいたほうがいいでしょう。
では直接言うのではなく、やんわりと「あなたの言動って失礼なんだよ」と気づいてもらうための行動ですが、あなたが精いっぱい丁寧な言動や言葉遣いをその失礼な人に対しても心掛けることです。あなたの「とても丁寧な対応」を目の前に見ることで、失礼な人本人が「比べてみたら自分はガサツで嫌な言葉遣いや言動をとっているなあ」と気づき「○○さんみたいにきちんとした対応をしたい」と考えてもらえるようになれば万々歳です。
相手にしない
失礼な人の失礼な言動は、曖昧に笑ってスルーする、というふうに、社会人として場をかき乱すことなく表面はにっこり受けていたほうが、あなたに対する周囲の評価も上がるでしょう。しかし、本当に受け入れてしまうと心が傷ついたり疲弊したりするのなら、心の深奥ではきっぱりと拒否して無視しておきましょう。
ここで、相手にしない、というのは、相手の存在を拒否したり相手自身を見下して受け入れない、という意味ではありません。その発言や行動をスルーして相手にしない、というだけで、失礼な人の人格全てを拒否して相手にしない、ということではないのです。
「こんな失礼なことをする奴は許せない。無視して思い知らせてやろう」となるのは、おそらく怒りの感情交じりの対処法です。何度も前述していますように、怒る、というのは最も悪手ですから、怒ったならすぐにクールダウン、ニュートラルな精神状態になってから対応していきましょう。
あなたの心の奥底で、そんな失礼な奴は無視しちゃいましょう。
ネタとして保存する
失礼な人に失礼なことを言われたりされりしたとき、まともに相対せずに、一歩引いた対応をできるようだったら、後でいろんな人に面白おかしく話せるように、失礼な人の言動を面白がってみるのもひとつの手です。
「疲れたわ」と言ったら「更年期障害じゃないですか」などと失礼な人が話しかけてきたとしたら、「ん?症状詳しく知らないけど、あなた詳しいの?教えて?」とか「良くそんな単語すぐに出てくるねえ。若いのになったことあるの?」などと…まあ、嫌味な感じで返すのもひとつの手ですが、そうではなくて、失礼な人の次の反応を話のネタにするために興味津々の体で尋ねてみるといいでしょう。
もし失礼な人に「やり返された!」と思われたとしたら、ある意味、良い撃退法法にもなりますし、そうでなければ、話のネタとして「こんな失礼な人が職場にいるんだけど、こないだ更年期障害の話で盛り上がってねえ」と友人に話して発散する機会に充てることができるでしょう。
失礼と感じるかどうかはあなた次第
とある言動に対して失礼と思うかどうかは、その人の感じ方次第です。例えば、年下の人にタメ語で声を掛けられて感じることは、「失礼だな、こいつ」と苦々しく思うか、「あら、オープンで喋りやすいわね」と堅苦しさのない会話を喜ぶか、「あれ、私若く見られたかしら、やだわあ」と相手がタメ口をきいてきた理由を自分が同年代に見られたと思って喜ぶか、逆に「俺若く見られたのか、嫌だなあ」と思うか、人によってそれぞれなのです。
ですから、失礼な言動をいちいち怒ったり、ずっと覚えていて失礼な相手に対する嫌な感情を募らせたりするよりは、忘れたほうがあなたの精神に負担が掛からないでしょう。
「失礼だからこの人嫌いだ!顔も見たくないしなるべく避けたい」と思ってしまえば、あなたの行動範囲が狭まるばかりで、あなた自身にとっての不都合しかありません。
ただ失礼な人に対して、あなたの大事な心を疲弊させてしまってはなりません。失礼な人はスルーして流し、あなたの心の中にそんな人を留めておかないようにしましょう。
まとめ
ダイバーシティという言葉があります。社会的には女性進出について使われることが多いようですが、基本的な意味は「多様性」で、さまざまな人や事柄を受け入れる文化であったり土壌であったりを指します。
失礼な人に対して怒りを感じるのは仕方のないことですが、失礼な人に対して怒りを感じやすくなっているのはあなたが失礼な人を受け入れたくないと思っている気持ちが土壌にあるからではないでしょうか。
怒ってしまうと視野が狭まったり冷静な思考ができなくなったり、あなたに悪いことが目白押しです。あなたのために、あなた自身の大事な心のために、なるべく怒らないようにしましょう。
それには、失礼な人に対する拒絶の気持ちをできれば少しでも緩和させておき「ダイバーシティ」の言葉が表すように「ああ、こんな人がいてもいいよな」と感じていられるように心掛けてみてください。