「お局」と言えば「春日の局」と思いつくのはアラフォー女で歴史ドラマ好きな私くらいでしょうか。
昨今では「~ハラスメント」という表現が多くなっているので「お局様」という表現がピンと来ない人もいるかもしれません。
大奥の総取締であった春日の局にあるように、本来は「できる女」の意味も持ち合わせている「お局様」なのですが、職場でいうところのお局様は困った存在として扱われていることでしょう。
部下に煙たがられ、一緒に働きたくないという印象のお局様のイメージは、例えば「上司にしたい芸能人ランキング 女性版」の対極にあるような人を指すのかもしれませんね。
今回はお局様について詳しく見ていきながら、困った存在となっているお局様を辞めさることが出来るのか、その方法について考えていきましょう。
お局様の生態を知る
先ずは、お局様はとはどんな人を指すのか、そしてなぜ会社で煙たがられる存在になってしまうのかを掘り下げて考えていくために、その生態を探っていきましょう。
今回はお局様が「独身女性、40代」の場合についてまとめていきましょう。あくまでも、イメージであり、一例です。
40代女性のお局様のイメージ
【性別】女性
【年齢】40代
【職場の経験年数】お茶汲み、コピーとりから始まって20年超え
【家族】一人暮らしでサボテンと同居、実家暮らしで自室でサボテンと同居
【趣味】旅行、ブリザードフラワー
【特技】投資
【休みの日の過ごし方】ドライブ、薬膳料理作り
【信じて疑わないこと】自分の経験
【会社での役割】お姉さん的存在、デキる女子社員、しかし陰ではバ〇ァ?
以上は大いなる独断と偏見ですがこのようなイメージを私は持っています。いくつかの項目を列挙しましたが、実は一番の特徴であり、お局様に共通しているのは「自分の経験を信じて疑わない」ということです。
自分の経験を信じて疑わないお局様の厄介さ
自分の経験こそが正義、自分の経験こそが法律であるお局様はその経験を元に、後輩たちに話をしてくるのが特徴です。
若い子には「私が若い時にはね…」
同年代には「私の経験からすると、ここの会社ではね…」
という言葉が枕詞のようになっています。
「もう時代が違うから参考にならないよ!」
心の中でいくら叫んでみたところでお局様には届きません。時代錯誤の教えに中途半端な返事でもしようものなら、とことん教え込まれてしまいます。これこそがお局様の厄介さであり、良く捉えるとお節介でもあるのです。
会社を辞めてほしいとさえ願ってしまうお局様の行動パターン
お節介なお局様は、本心から若手社員や自分より後から入社してきた社員のことを思ってアドバイスをくれることもあります。少し会社独自のしきたりにうるさいけど、何とか許容できる範囲で関わってくるお局様の言動はまだ可愛いものです。
コピー用紙の補充やトナーカートリッジの管理をする「コピー機番長」や部署での誕生会やバレンタインデーの存続を固辞する「イベント番長」など、こんなのはまだまだかわいいものです。
本当に会社を辞めてほしいと願われてしまうお局様の存在感は相当のものです。
1. 皆に退職を願われてしまうお局様の言葉
~もう、こんな人辞めてしまえばいいと願われるお局様語録~
- 何度言ったら分かるの
- 私が入社したての頃は…
- 数年前は…
- 上司の○○さんの本心はね…
- そう、嫌われてしまうお局様は経験でしか物を言わない上に、勿体ぶった言い方をするような人です。
特に上司との付き合いが長いということやお客さんとも気心が知れているということを印籠として、あれこれ独自のルールを押し付けてくることがあります。そしてそれで部署内を混乱に陥らせるということもしばしばです。
2. お局様あるある
実例として、自分の経験が全て、という考え方で新人教育でことごとく新人をつぶしてしまうお局様の話をします。
某個人病院の受付のお局Aさんは、医療事務歴20年。高校卒業から今までずっと、他の職場で働いたことはありません。
Aさんが勤続20年を迎えた頃、Aさんの働く病院では医療の他に介護やリハビリと分野で企業拡大をはかることになりました。それに伴って事務職員も増員することになりました。開業以来、初めてAさんに部下ができるのです。
長く働いているAさんは事務部門の事は院長に一任されています。応募してきた人の面接や試験、採用の可否に至るまでAさんが担当します。
Aさんは「今の時代はパソコンが出来て当たり前。特にブラインドタッチは大事。」「医院で処方される医薬品の名前は暗記して当然」「ヘアカラーの明るさは〇番まで」など、事細かに自分ルールを示してきました。
その結果、面接で落とされる人、試用期間にダメ出しされて辞める人、毎日ダメ出しをされ1年未満で辞める人などが続出しました。
特に、辞めていった新人さんたちにとって理解できなかったことは患者さんの応対です。Aさん曰く、田舎の病院なので標準語はダメ、対応がそっけなすぎてもダメ、地域と密着した存在の病院なので親しみやすい話し方をする、ということが大切らしいのです。
確かに、どれもそこまで間違ってはいないのですが、患者さんとのこれらの対応は長く関わってある程度「知った関係」になった者同士でないとなかなか成り立たないのです。
いきなり現れた新人が患者さんに田舎弁で近しく話し始めてもおかしいですし、それこそあまりに機械的な塩対応も田舎では特に受け入れられないでしょう。
新人であっても、時間と経験を経ていけば患者さんとのコミュニケーションは取れていくのです。しかし、Aさんは「時間が解決していく」「経験しながら覚える」ということを受け入れてくれませんでした。
さらに新人に心理的に追い打ちをかけたのが、Aさんの実演によるお手本です。
「○○さん(新人さんの名前)、よく見ていて。」
と言っては、対応の難しい高齢者の方や個人的に知っている人にしかわからないネタを繰り広げ、患者さんと自分はいかに心を許して合っているかを見せつけるのです。
これにはどのような人も心が折れてしまします。20年以上も病院で働き、患者や地域の事情を熟知しているAさんのようには誰しもいきなりはなれません。
医療事務は人気の職種です。求人を出すと次々に人は集まってきます。Aさんの病院でも1回の面接で10名の応募はざらでした。しかし、結局誰ひとりとしてAさんというお局様の前に生き残った人はいませんでした。
そして、未だに一人部署である病院の受付。Aさんの今の口癖は「やっぱり私でないとダメなのよね」です。
その後のAさんの動向を、今度はお局様を辞めさせる方法について考えながら触れていきます。
どうやってお局様を辞めさせるか
最低限の仕事が出来て、長く勤務しているお局様を退職に追い込むことはなかなか至難の業です。業務に支障がなく、他人に迷惑がかからない、そして周りの職員が何とか受け入れることができるのなら、お局様に勤務を継続してもらうのが一番波風が立ちません。
しかし、先に紹介したAさんのように、彼女が居ることで新人が続かない、新たな人材が育たないということは企業にとっては問題です。
お局様対策をどうしたら良いでしょうか。以下にまとめました。
- 上司に相談して注意を促す。
- お局様の傘下に入り、内側からコントロールする。
- 経験にこだわるお局様には外部からの新風を入れ時代が変わったと感じさせる。
1.2については、正直「これができれば苦労しない」というところでしょう。職場環境によっても変わってきますし、コミュニケーション能力がかなり高く無ければ難しいですね。
3については「お局様の意識改革」と「お局様の自主退社」を狙うことができる可能性がありますので、詳しく解説していきます。
お局様の天敵「新しい風」を吹かせる
医療事務に限らず、企業ではもう昔のように根性や経験だけで突っ走っていくことで「企業が必要とする人材」として認められることは難しくなりました。
就職において求められる人材は、雇う側の企業で最低限通用するスキルを持ち、今後応用力や発展が見込まれ、誰と会っても恥ずかしくない常識を備えた人物であることが基本になります。
その後、新たな事務職員を確保できなかったAさんの働いている病院では、人材派遣会社と契約することで、受付事務を増員しました。
契約社員たちはそつなく仕事をこなしましたし、患者さんと必要以上に近い距離感で話すことはありませんでしたが、同時に不快感も与えるようなことも決してしませんでした。
要するに、Aさんルールに叶う人材でなくても十分用は足りたのでした。それどころが、日々新しい知識を取り入れている派遣社員たちは新たな加算や制度を活かす可能性を院長に提案しました。
そうしてAさんはそっと、病院を去ったのでした。
派遣会社を入れたことでAさんは居心地の悪さを感じて去ってしまいました。しかし、変化を受け入れることができればAさんはもっとスキルアップできるチャンスでもあったはずです。そして「お局様」から晴れて「デキる女」になることができたでしょう。
まとめ
みんなに嫌われがちなお局様は、本来はその会社での勤務経験が長い大先輩です。人間性が備わっていて、経験やマイルールを押し付けてさえ来なければ会社や後輩にとってはありがたい存在なはずです。
また、少しユーモアがあって、後輩のことを可愛がることができるお局様であれば「お局様」であることを自虐的なネタにして上手く若い年代とも関係を築くことができるでしょう。
今、50代~40代後半のお局様たちが新入社員だった頃はバブル期の終焉の年代です。彼女たちの上司はバブル期を生き、浮かれた時代を生きたはずです。若かったお局様たちはそのような時代や上司に憧れを抱いた新入社員だった人たちかもしれません。
そして「上司や会社に尽くす」ということにやりがいを感じて時代を生きてきたのです。
「花の金曜日(はなきん)」には会社が終ると夜の街に繰り出し、会社の新年会、忘年会、それ以外にも上司の一声がかかれば飲みに行く、ということが当然でした。そして、そういった付き合いが会社での人間関係や業務がスムーズにいく潤滑油になっていました。
それは、個の能力やプライベートを重んじる今の時代とはマッチしません。すっかり時代遅れなことになってしまいました。そう考えると、後輩の言動に興味を示し、お節介すぎるお局様は確か煙たい存在ですが、何だか「痛くて、惜しい人」でもありますね。