「いじめ」といえば、物を盗ったり隠したり、或いは嫌味を言ったり無視したりなど様々なことが考えられます。いじめをしている人は無意識や軽い気持ちであっても、対象となる人が「嫌だ」「辛い」と捉え、いじめられていると感じればそれは「いじめ」にあたります。
職場でもいじめは存在します。
もしも、あなたが職場でいじめにあってしまった時、どう解決しますか。大人になるとなかなか解決はできないでしょうか。特に職場でのいじめでは、解決の糸口が見つかりにくいかもしれません。
その理由としては、子どもや学生における学校でのいじめとは異なり、成熟した大人という立場によって一人で何とかしないという気持ちから解決しようという意欲にストッパーがかかってしまうからです。
大人なのにいじめられてしまう自分が弱い人、頼りない人という風に周りから見られないかという惨めな気持ちから解決することに消極的になってしまうのです。
しかし、大人だからといって一人でいじめ問題を解決しなくてはいけないのでしょうか。
「人間関係なんて職場では関係ない」「仕事をやりきるのみ」と割り切っていじめを乗り切ることは大変なことです
では、職場でのいじめにはどう対処したらよいのでしょうか。
今回は職場でのいじめの対処方法について具体的にみていきましょう。
職場でのいじめの例と人に言い出せない理由
具体的に、職場でのいじめでは、どのようなことがあげられるでしょう。そして、そのことをなかなかオープンにできない理由をまとめていきましょう。
仕事でのいじめ
fa-arrow-circle-right職場の人間関係…悪口、陰口、仲間外れ、暴言
→怖くて言えない、エスカレートしそうで上司にも言い出せない
fa-arrow-circle-right仕事に影響する内容…不平等な仕事の量、業務妨害
→仕事に益々支障が出そうで言えない、我慢してやるしかない
fa-arrow-circle-right人格に関わる内容…能力を否定、存在を否定、家族の悪口
→言ってもわかってもらえない、諦めの気持ち
fa-arrow-circle-right容姿に関わる内容…顔や体型、ファッションセンスなど
→言っても無駄、耐えるしかない
大きく分けると以上のようなことが考えられます。
職場でのいじめでは仕事に対する能力や人格など、人としての評価について虐げられるということが多いのが特徴です。学生のように言葉やSNSでのやり取りがきっかけとなるようなはっきりとした原因がない中でいじめが起きていることがあるのです。
そのため、自分のバックグラウンドとなる家族や子どもまでもが馬鹿にされているような情けなさや、申し訳なさといった錯覚を起こしてしまいがちです。
このことから、総合的に考えてなかなか家族にも上司にも職場のいじめは言い出せないという気持ちをうかがい知ることができます。
職場でいじめをする人の心理
職場で誰かをいじめる人の心理はどうなのでしょう。それは、いじめる人自身にコンプレックスやストレスがあるということが考えられます。
職場で誰かをいじめる人は、自分よりも仕事ができる人、美人な人、友達が多い人、人望があつい人や優しい人など、自分にはないものを持っている人に対して嫉妬心を抱いてしまうのです。
いじめにあっている人は「自分はそんなに人に羨ましがられる状況にはない」と感じる人もいるでしょう。しかし、予想外なことで人に羨ましがられているということもあります。
それは、未婚か既婚か、旦那さんの職業や子どもの学校はどこかなど全く仕事とは関係のないことだったりします。極端な例では持ち家がある、どんな車に乗っているかなど、一方的な「見栄」であったりもします。
職場でのいじめの対処方法~自力解決は難しい
ここまで職場におけるいじめに対して、いじめの内容や理由、いじめる人の心理について考えてきました。大人のいじめでは一方的な逆恨みで周りを巻き込みながら特定の一人を孤独に追い詰めるということが起き得ます。
真実ではないことや、思い込みや勘違いで同調している者同士に対して、自分一人で解決のために動いてもなかなか解決の道を見出すことはできません
職場でいじめをオープンにすることの大切さ
さて、ではいじめの解決策としてどのようにしたら良いのかを考えていきます。まず、いじめを解決するためには必要最低限なことは相談相手に伝える必要があります。要するに、「いじめられていることをオープンにすること」が欠かせないのです。
いじめられていることをオープンにすることで生じるデメリットを懸念して、躊躇してしまう人も多いでしょう。しかし、真実をオープンにすることで多くのメリットが期待できるのです。
すぐに職場を辞めてしまうのでなければ、解決策をみつけましょう。その為には、全てではなくとも、自分の身に起きているいじめの状況や自分がどう感じ、どうしたいのかをオープンにし、相談する必要があります。
職場でのいじめの解決策:上司に相談する
直属の上司や信頼できる上司にいじめのことを打ち明けましょう。上司は状況に応じて、一旦は自分の胸の中に留め、様子を見るかもしれません。または、配置転換をするかもしれません。
いずれにしても、上司にいじめのことをオープンにしたことで、その上司がすぐに全てを暴露するということは考えにくいでしょう。一旦、打てる手を打って様子を見ることになるかもしれません。それは大きな一歩です。
仮に好転や解決しなくても、ある段階で上司に相談をしているということが後に相談をした人の救いになることもあります。
職場でのいじめの解決策:家族に相談する
職場でのことを家族に相談しても意味がないと思うかもしれません。しかし、いじめに限らず、サービス残業や不当な時間外労働など、多くの現代社会のストレス問題において一番近くでその様子を見ていた人の発言は貴重なものになります。
家族に職場でのいじめ問題や悩みを打ち明け、相談しておくことでもしも医療機関にかかるほどの心身の不調を発した時、貴重な情報提供者になってくれます。
それは、家族が会社に対してと医療機関に対しての両方に対しての証言者になるからです。時系列に沿って正確な状況を把握してくれている人がいると、解決に向けて正しい方向に進んでいくことができます。
心身に治療が必要な場合は、医療面でも適切な治療法やより良い繋ぎ先を判断する材料になります。
職場でのいじめの解決方法:公的機関に相談する
会社の上司や家族に相談できない場合、以下の機関では職場環境や働き方など職場での悩みや困りごとを受けてくれます。
- 都道府県庁、市町村役場職場
- 労働局
- 法テラス
都道府県庁などでは「労働困りごと相談窓口」や「労働相談センター」などの名称で専門窓口が設置されています。最近はパワハラやモラハラ、マタハラなど多くのハラスメントが問題となっているので、職場での困りごとに関する窓口が、インターネットなどですぐに確認できます。
また、法テラスでは弁護士等の専門職がまずは話を聞いてくれ、どうしたらよいかの方向性を見出すお手伝いをしてくれます。また、問題解決に向け適切な窓口への繋ぎ役、助言、手続きの支援もしてくれます。
職場でのいじめの解決方法 最終手段:職場を替える
職場のいじめの解決方法として、手を尽くしても解決しない、もうその場にいることさえも苦痛という場合は環境を変えることが一番です。
心身に不調をきたしてまでもいじめが起きている職場に通い続ける必要はありません。
転職や退職することでいじめから逃れることも立派な解決方法です。
職場を辞めて離れるということは、いじめから「逃げ出す」ことでも「負ける」ということでもありません。自分を守るという意味では適した解決方法です。
大人になってからの「いじめ」
職場でのいじめは大人のいじめです。
大人のいじめでは、家族がいてもなかなか相談しにくいものです。家族に心配をかけたくないなどの理由で言い出しにくいのです。
また、大人であるがゆえに自分一人で解決しないといけないという気負いも感じてしまいます。家庭での立場が妻、母という場合もプライドや情けなさからなかなか言い出しにくいです。
相手の立場になってみよう
大人であっても、いじめにあうということは辛く耐えがたいことです。また、いじめている側としてもいじめているつもりはなくても、さり気ない言葉や態度、周りの雰囲気に同調しただけでも誰かをひどく傷つけることがあります。私たちはいじめの加害者にも被害者にもなり得るのです。
前述したように、職場で独りぼっちでいる人や、いじめにあっている人、浮いてしまっている人にも親がいて、家族がいます。
家に戻れば妻の顔、母親の顔を持っているのです。未婚者であっても親や兄弟がいる、誰しもが同じなのです。
相手に自分を置き換えて考えてみましょう。もしも自分が、もしも自分の家族が朝「行ってきます」と家を出て、職場で惨めなめにあっているとしたらどうでしょうか。その姿を想像してみましょう。
悲しいですよね。
まとめ
私たちはいじめの加害者にも被害者にもなり得ます。
自分がいじめの首謀者ではなくても、気が付かないうちに誰かを傷つけ苦しめていることもあります。それは、いじめだと分かっていながら見ないふりをすることも含まれます。
職場でのいじめは一人の大人の存在や立場、人間性を否定する陰湿な行動です。大人気(おとなげ)のない行動です。
いじめを受けた人は解決策を探りましょう。今回紹介したように相談するところから始めましょう。そして、最終的には職場を替える方法も念頭においておきましょう。
いじめている人は、相手の立場に立って自分の言動を顧みましょう。それと同時に、職場で人を思いやれない自分やいじめをしている自分の姿を想像してみましょう。家族に見せても大丈夫な表情や振る舞いでしょうか。
幼くても、学生でも大人でもいじめをすることは恥ずかしいことです。そして、いじめにあったときに最終的にその場から脱し、新たな環境に身を投じることは誰にも責めることできないことです。