「何事も続けることが大事」「悩みのない人はいない」など、周りに励まされた経験は誰しもあるでしょう。それは、部活動や習い事、勉強などどんな状況においても言われてきたことですよね。
子どもの頃や学生時代は、まだ人生経験が浅いので大人からのそのような言葉を受け止め、多少辛くても乗り切ってきた人も多いと思われます。しかし、大人になり自分の人生を主体的に生きているという状況ではどうでしょう。
私などは「仕事で辛いのも、その理由も自分でなければ理解できない」と考えてしまいます。そして、周りの励ましの言葉で何かが解消されるということは大人になるにつれ少なくなっています。
人生はどこまで行っても悩みは尽きません。まして、人生の多くの時間を占める「仕事」については辛さを感じる機会や時間が多くなります。現に、朝起きると仕事が辛い、何をやっていてもため息ばかりついてしまうという人は今もたくさんいるのです。
どうしたら仕事が辛いという感情を軽減できるでしょうか。
ここでは、ため息の多い毎日が少しでも楽に感じることができる方法をお伝えしていきます。
仕事に辛さを感じる時
まず初めに、仕事の辛さを感じるのはどのような時かを考えてみましょう。
仕事の辛さを感じる場面としては、
・職場の人間関係
・仕事の量が多い
・仕事の内容が難しい
・勤務環境が辛い
・給与に不満
・健康状態がすぐれない
・家庭との両立が負担
・家族に理解されていない
大きく分けると以上のようなことが考えられますが、仕事の辛さの発信源は職場だったり、家族だったり、自分自身であることが分かりますね。
毎日ため息が何度も出るほど仕事が辛いと感じる要因は
先にあげた仕事の辛さは一般的に考えられる内容です。それこそ「どんな職場にいっても色々ある」「みんな、家事との両立に苦労している」という励ましの言葉で片付けられもします。
しかし、毎日何をしていてもため息がでるほどの仕事のストレスや悩みがある人は、相当精神的に辛い状況に陥っているということが想定できます。次に、そのような辛い日常から脱するための方法を考えていきます。
考えていく上で、それはどのように辛い状況であるか、実例を紹介します。
仕事のある毎日が辛い、何をしていてもため息が出てしまう状況~実例から~
40代A子さんは、長年高齢者の施設で勤務してきました。
出産を機に、しばらくは仕事を辞めてきましたが子供が小学校4年生になり留守番もできるようになったので働き始めることにしました。
再就職は以前の職場ではなく、他の高齢者施設のデイサービスです。デイサービスは平日の日勤帯での仕事なので小学生の子供がいるA子さんにとっては好都合です。
パート扱いではありましたが、これまでの職務経験や介護福祉士の資格があることで、現場ではサブリーダー的な仕事を任されました。A子さんは介護の仕事ではブランクがありましたが、長年の経験もあり勘を取り戻せば仕事上で困るようなことは特段ありませんでした。
そんなA子さんを悩ませたのは、デイサービスの運転手との人間関係でした。デイサービスの送迎は、ただ車に誘導して自宅と施設を行き来させるだけではありません。
揺れに弱い方や、麻痺が身体のどちら側にあるのかの違いで車両に乗る時に生じるリスクや安全な動作の方法も異なります。迎えに行く順番や車内での席の位置もしっかりと出発前に申し合わせしておくのが当たり前だとA子さんは考えていました。
他の介護職の方たちは、それまではそこまで意識して送迎をしていませんでしたが、経験者であるA子さんの意見に賛同してくれました。しかし、想定外に運転手さんがなかなか了解してくれませんでした。
運転手さんは年配の男性で他の会社を退職した後に運転業務専門でデイサービスに採用されたパート職です。介護の経験も福祉に関する知識も深くはありません。
しかし、後から入ってきたA子さんの考え方でこれまでの運転ルートや車内の席を変えることは納得できないのでした。自分のやり方にA子さんが口を出していると感じたのでした。
結果的に、その運転手さんの車にA子さんが同乗する日は、送迎車の車中は雰囲気が悪いものになってしまいました。利用者様が乗っていない時は運転が荒く、無言です。明らかに運転手さんの機嫌が悪いのです。毎回、毎回そうなのです。
A子さんが機嫌をとっても全く効果はありませんでした。
結果的にA子さんは、送迎車に乗ると毎日耳鳴りがするようになってしまいました。そして、それを我慢していると吐き気を感じるようになり、ひどい頭痛もするようになりました。
最初はその運転手さんと一緒の車での送迎の時だけ、体調の悪さを感じていました。しかし、家に帰ってから、そして休日に家族と出かけていても耳鳴りが治まらなくなってしまいました。
A子さんは病院を受診しました。職場ではシフトを代えてもらい送迎車に乗ることを回避できるような策も講じました。しかし、耳鳴りや吐き気、頭痛は益々酷くなり、遂には眠ることも出来なくなってしまいました。
そして、とうとうA子さんは限界を感じました。最後は家族の勧めもありA子さんはその会社を退職したのでした。
A子さんの場合は、自分の落ち度はなく、仕事も好きでしたが人間関係が原因で環境を変えなければならないほどの仕事の辛さを味わってしまったのでした。
仕事の辛さを解消する方法の答え~実例の場合~
実例の場合は、本当に仕事の辛さが限界まで達したケースですので仕事を辞めるという決断に至り、その辛さから逃れることができました。仕事の辛さを感じる度に毎回毎回、退職はしていられないのですが、自分を守るために環境を変えるしかないという時もあるのです。
次に、「最後は仕事を辞めても仕方ない、自分を守るためには間違っていない」という前提の元、仕事の辛さと向き合って少しでも気持ちが楽になる方法を紹介します。
仕事が辛いという気持ちから逃れる方法
勤勉な日本人は「仕事は生活を維持するため」と頭ではわかっていても、仕事中心の生活になってしまったり、プライベートな時間も仕事のことで気持ちを支配されてしまいがちです。
特に仕事に対して辛さや不満、悩みを感じていると尚更です。そんな時は仕事から気持ちを逃がしてあげることが大切です。
方法その1:必要最低限ができていればいいと考える
よく医師のアドバイスでもストレスから逃れる方法として言われる言葉に
「逃げられることからは全部逃げて、必要なことだけやればいい」
という言葉があります。
真面目な人や、仕事の質を大切にする人は人一倍の努力と完成度を求めてしまいがちです。自分の目指しているところまで達成できない自分を許せない、周りを許せない、そして思い詰めてしまうのです。
しかし、自分の心身の健康を損なってまでいつも達観し続けなくてもいいのです。極端に言うと仕事が滞りなくまわればいいのです。最低限出来ていればいいと考えると、自分も周りも許せるようになります。
方法その2:仕事以外に価値を見出す
また、2つ目の方法としては仕事以外の事に興味や価値を見出すことです。仕事とは全く関係のないことで、自分を喜ばせてあげるのです。
例えば、実例のA子さんのような方の場合は、福祉や介護に関係ない別の資格にチャレンジする、趣味を極めるカラオケやダンスサークルに通うなどではどうでしょう。
読書をするにしても、認知症の方へのケアや介護に関する本ではなく推理小説や恋愛小説などを読み、全く他の世界に没頭できることが大切です。
方法その3:自分の人生は仕事が全てではないと考える
職場には様々な人がいます。A子さんのような福祉分野では家族ぐるみで事業所や施設を経営しているということもあります。雇われでも長い期間勤務している管理職は、経営者と家族同然の価値観を持っていることもあります。
古い言い方では「会社と心中してもいい」という考え人たちです。
現に、A子さんの事例にあったA子さんを悩ませた運転手さんは経営者の親戚でした。
立場が違うと会社や仕事に対する考え方が異なります。家族経営、親族経営の職場では特に、自分の立場と職場の立場を混同してしまう人もいます。自分の人生を会社に捧げている人とそうではない人との考え方にギャップが生じている場合、その溝が埋まるということはないでしょう。
こうした立場や価値観が相当に異なる相手の存在で仕事が辛いと感じる時は、「自分の人生はここの職場での仕事が全てではない」と割り切るようにしましょう。
仕事はあくまでの自分の生活を維持する、自分の人生を豊かにするための手段なのです。
方法その4:予防線を張っておく
最後に紹介する方法は、いつでも今の職場を辞めることができるという予防線を張っておくことで気持ちを落ち着かせる方法です。
本当に辞めるというわけではありませんが、求人サイトをチェックしておくことや、知り合いに「いざという時は雇って頂戴ね」など気軽に声に出しておく程度でも構いません。
大きく行動に移さなくても、いつもいざというと時のことは考えているということがお守りになります。「自分だってその気になれば!」という心構えが少しでもあるとしばらくは頑張ることができたりするものです。
まとめ
現代は年功序列や終身雇用にとらわれない時代です。仕事の種類や雇用形態は多様化し、いざとなれば何かしら働くことができる世の中です。心を病んでしまうくらい我慢しなくても仕事は替えればいいのです。
しかし、核家族化が進み長寿大国である日本では老後の生活資金は確かに必要です。働くことができる時期に地道に働き、貯金や退職金を得ることができるということは自分や家族にとって後に大変大きなメリットになります。
できるならば、一つの職場で長く働くことができるということが望ましいです。そのためにも「辞めるのはすぐできる」という大前提のもと、仕事の辛さから逃げる、かわす、切り替えるという術を身につけると良いでしょう。