他人を評するのに「無神経な人」というのは、最低レベルの評価です。ちょっと気が利かなかったり、少し空気が読めなかったりしたとしても、即座に「無神経な人だ」などと言われることはありません。
しかし、評価や性格は人それぞれのもので、同じことをされても全員が「無神経なことをされた」と思うわけではありません。ある人にとっては踏み込んでほしくないラインが人よりも浅かったりすることもありまし、逆のこともあり得ます。それぞれ違う相手に対してそれぞれ違う気遣いができない人が「無神経な人」と言われてしまうのでしょう。
とはいえ、誰にでも「無神経な人だなあ」と思われてしまう人も少なくありません。良く言われる「モラルハラスメント」はこれに当たるのかもしれません。モラハラ人間には、相手の事情や感情などお構いなしといったような「無神経な人」が多くありませんか?
ここではそういった無神経な人、モラハラ人間の行動の意味や、それに対する対処法を紹介していきます。また、人によっては「無神経」の判断レベルが違いますが、なるべくならば無神経な人と思われたくない、というあなたに、無神経な人にならないために気を付けるべき点をご紹介します。
無神経な人の内実とはどんなものなのか
自分が良ければ他はどうでも構わない、といった考え方をするのが無神経な人の性質です。こういう考え方を気持ちの底に持っている人は、無自覚に相手を傷つけたりしてしまうことが多くなってくるでしょう。心の底での考え方の違いですから、その「人を傷つける行動を取る無神経さ」は天然であって、本人には全く悪気がないのです。
だから余計にたちが悪い、とも言えるでしょう。無神経な人の無神経な行動に悲しんでも、無神経な人のひどい立ち居振る舞いに傷つけられたとしても、悲しませ傷つけた本人はいっそ無邪気なままでまったくもって悪気がないのです。自分が悪いことをしたとは露ほどにも思っていません。そんな風な態度でいられると、傷つけられたほうは責めることもできず、責めたとしても理解してもらえず、憤懣やるかたない状況に陥ってしまうでしょう。
無神経な人には、話したくない時ははっきりと伝えておいたほうが良い場合があります。なぜなら、無神経な人は、相手が疲れていたり悲しんでいり落ち込んでいたり、という感情や状況を思いやることをせず、自分の都合の良い解釈で行動してしまうからです。
一般的には、無神経な人ほど馴れ馴れしい人が多いといいます。相手との距離感を上手く保てないまま、相手の都合もわからないまま突っ込んでくるタイプ、とも言えます。無神経な人とは、このような振舞いで周囲をぐちゃぐちゃにして、そうした自分の行動を省みることのできない人間なのでしょう。
また、相手が落ち込んでいたら気遣って静かに見守ってくれるのが気遣いのある人だとすれば、他人の落ち込んだ雰囲気で自分の気持ちが暗くなってしまうから「落ち込んだ顔を見せるな」とか「暗くなってしまうから笑ってくれ」だとか勝手なことを言い出すのです。
驚くほど空気を読まず、あなたが話したくないのにしつこく話しかけてくる「無神経な人」の頭の中のパターンは前述のような感じが多いかもしれません。あなたの感情に寄り添ったり共感したりすることをせずに、「こういう場では明るく皆と喋るものだ」などと言って要望ばかり押し付けてくる、いわゆるモラルハラスメントをするタイプの無神経な人です。
自分の考えを上手く押し付けるためにあなたの情報を欲しがって、共感や同情を装って聞き出そうとしてくるモラハラ人間と接したことはありませんか?こういうタイプの無神経な人は、ダメです嫌ですという雰囲気を醸し出してもちっとも読み取ってくれません。自分が「道徳的」で「正しい」と思い込んでいるのでしょう。
無神経な人はどんな人なの?特徴や性格やタイプを知ろう
前述のような無神経な性格は、どういった考えや心持ちから顕れてくるのでしょうか?無神経な人の内実を、下の項目ごとに見ていきましょう。
自分の世界が大事な人
無神経な人は、思い込みが激しい傾向があります。覚えたひとつの基準以外の観点で、物を考えることが難しい頭の固い人です。臨機応変さが足りず、また、相手の事情や感情を思いやること以上に、自分の感情や立場を最優先とするタイプです。
TPOを考えられない人
前項のように「自分の世界が大事」ゆえに、その場その場の状況ごとに頭を使って行動することを放棄してしまい、TPOをわきまえていないと言われがちな人です。自分の気持ちややりたいことが最優先で、他を気遣う余力を残さず行動してしまっているので、周囲に迷惑を掛けることが多いでしょう。
「間」や「呼吸」が読めない人
いわゆる空気が読めない人は、相手の様子を窺う力が足りずにずけずけと発言を続けがちで、無神経だと言われることが多いでしょう。二人で話していてもお互いを探りあったりゆっくりと親しくなることが苦手で、無神経な会話を仕掛ける傾向もあります。静かな対話の中でのちょっとした表情や声の強弱などに感情を読み取るような、繊細な作業を放棄してしまっているのだともいえるでしょう。
ひとりでさっさと行動してしまう人
無神経な人は、周囲の反応や様子を窺い考えることをせずに、すぐに行動へと移しがちです。自分が行動したことで周囲にどういう影響を与えるかを全く考えることができません。周囲との調整をするような細かな気遣いを投げうってしまい、勝手に動き出すのです。周りとの軋轢を気にしないし、気にも留めない自分勝手な人で、普通の人が集団の中でかんじるストレスを感じないでいられる無神経さがあります。
自分のことを知られるのを極端に嫌う人
無神経な人は自分のことに関しては意外に繊細だったりします。周囲に自分のことを知られたくないと考えていて、話題に上ることを嫌うでしょう。他人に知られたくない一面を持っているということなのでしょうが、そこを懸命に隠したがるため、会話が一方的になってしまうのです。相手のことばかりを尋ねて自分のことを話さないタイプにも、無神経な人は多いのです。
無神経な人との上手な付き合い方
無神経な人とも上手く付き合っていくためには、当たり前の「気遣い」が必要になってきます。相手が無神経なことをしてくるからこちらも無神経さでやり返してしまえ、ではいけないということです。そんな風に「無神経な人」と相対してしまえば、自分の周りの人間関係がどんどん悪くなっていくでしょう。
そうならないための上手い言動、無神経な人との上手な付き合い方を以下にご紹介します。
無神経な人に対してNGなこと
無神経な人は、自分が無神経であることを自覚していない場合が多いでしょう。無自覚に、周囲に無神経な行動を取り、周りの人々の気分を害します。ですから、無神経な人に「あなたは無神経だから治してください」と訴えても、悪口を言われた、という認識しか持ってもらえない可能性があります。
分かってもらえるように仕向ける、というのも無駄な話です。無神経な人は自分の無神経な言動に自覚がなく、何が無神経なのかもわかっていません。ですから前述の指摘した場合と同じく、あなたを「いつも嫌味を言ってくる嫌な人間だ」というふうに捉えてしまうでしょう。
ですから、無神経な人に自覚してもらい変わってもらおう、という言動はNGです。賢明な皆さんはご存知かと思いますが、こういう無神経な人は前項で説明しましたように「自分の世界」が最も大事で、それを壊そうとする人を敵視する傾向があります。
最も賢い方法とは
無神経な人との最も賢い関わり方は「なるべく関わらずにフェードアウトする」ことです。関わりを絶つのが一番なのですが、それもそろりそろりと参りましょう。
もちろん、親戚だったり会社の同僚や上司だったりと、常に関係が続いていく相手な場合もあるでしょう。そうした相手であっても、なるべく深い関係にならず、適度な距離を保ったまま付き合っていくことがベストな方法でしょう。
きっぱり関わりを絶ちたいと思うことはあるでしょう。特に無神経な行動を取られ傷ついてしまったときには、哀しい心持ちのまま「絶交だ」と叫びたくなってもくるでしょう。しかし、無神経な人との上手な付き合い方としては、パッと距離をとって断絶してしまうのは上手い方法ではありません。
もちろん、二度と合わないし関わらないとわかっている相手であればその対処でも構わないでしょうが、少しでも縁が続くと分かっている相手な場合はなるべくやめておいた方がいいでしょう。
具体的には「やんわり」とかわすこと
無神経な人とは、当たり障りのない会話がベストです。もしあなたを詮索するような会話を仕掛けてくる相手だったら、やんわりと話を逸らすのも効果的でしょう。無神経な人は、目の前にいるあなたが醸し出す「話したくない空気」を読みませんし読めません。
ですから「それは今話しても面白くないから」とか「ちょっと話が長くなるからまた今度ゆっくり」などと、「今は話さない」ということをはっきりと伝え、なおかつ、喋りたくないのではなく今は喋れない、ということをアピールして、無神経な人の感情を逆撫でしないよう気を付けて会話を終わらせてください。
はっきりと、しかし、やんわりと、です。「また今度」と言ってしまうわけですが、「また今度」のときにも曖昧に躱し、その都度、うやむやにしてしまいましょう。
笑顔でけむに巻く
また、あなたが体調が悪かったり気分が落ち込んでいたりした時ほど、無神経な人はゴリゴリとより話しかけてくるパターンが多かったりもします。そういう場合はきちんと「今は話したくない。後でまたゆっくりと話しましょう」などと言ってあげましょう。
コツは、空気が読めない相手を責めるような口調や雰囲気は醸し出さずに、可能ならば笑顔で「また今度」と柔らかく言ってあげることです。今は会話が難しいことという事実を、きっぱりとはっきりと伝えてあげましょう。
相手が無神経にガツガツ話しかけてくることに怒ってしまってはそれも難しくなりますので、なるべく笑顔で「今はダメなんだけどまたゆっくり話したいよね」などと、相手を嫌っているわけではないことをアピールしつつその場を離れるといいかもしれません。
無神経な人だとレッテルを貼られたくないなら
あなたは無神経と言われたこと、または無神経だと陰口をたたかれたことなどはないでしょうか?陰口だとなかなか気づきはしませんが、周囲の人たちの様子におかしなところを感じたら少し自分の素振りを振り返ってみるのも悪くないかもしれません。
一度や二度くらいの失敗ならばまだ取返しがつきます。それが延々と続くものでさえなければ、相手も「ああ、ちょっとガサツな人なんだなあ」くらいの印象で終えてくれるでしょうから、無神経な人のレッテルを貼られる前に、自分の行動を振り返ってみるのも大切なことです。
無神経な人と思われたくないなら、何か行動を起こす前に、言葉を発する前に、いったん目の前の相手の立場になって考えてみることです。接する相手が「この人は私のことを考えてくれていないなあ」と感じたら「無神経」という評価を受けてしまいます。ですから「無神経な人だ」と言われたくないのなら、なるべく接する相手が自分の行動によってどのように感じるかを想像しながら動いたり喋ったりしたほうがいいでしょう。
しかしこれは、周囲の顔色を窺って自分の思う通りの行動をしない、というわけではありません。決してそうではなくて、自分のやりたいことをやるために、周囲の人を気遣う、ということなのです。自分の筋を通し言いたいことを主張するために、周りの人々の様子を窺ってひとりひとりに心遣いをするわけです。そうすれば、無神経のスパイラルから脱することができるでしょう。
無神経でない人はそういったことを自然とできる人です。常に広い視野を保ち周囲の人々に心遣いができる、いわゆる「気遣いの人」ですね。こういう人のもとには人が集まり、人望も厚くなっていきます。
無神経な人間を手玉に取る方法
無神経な人と同じ土俵で闘おうとしないようにしましょう。無神経な人に傷つけられたからと、それを引きずってしまっては、あなたが無神経な言動をしてしまうことにもなりかねません。無神経な相手だから無神経に返そうとするのではなく、そういった相手にも心遣いをして気遣うくらいになれれば、無神経な人たちをも手玉に取ることができるでしょう。
無神経さと無縁でいたいなら、思いやりと気遣いを常に忘れないようにしましょう。