仕事とプライベートの優先順位は?切り離しと区別の考え方

仕事とプライベート、この2つに優先順位をつけるとしたらあなたはどうですか?時と場合によるので明確につけることは難しい、と考える人が多いのではないでしょうか。また、年代によっても考え方が違うかもしれませんね。

 

一昔前のドラマや漫画では「仕事と家庭、どっちが大事なの!?」と夫に泣いて迫る妻というようなワンシーンが見受けられましたが、今の時代はその質問がいかに野暮なことなのか、皆さんご承知かと思います。

 

とはいえ、仕事とプライベートを完全にきっぱりと分けて生活していくことはなかなかできないでしょう。今回は仕事とプライベートの優先順位について考えていきましょう。

 

近年見られる職場でのプライベートへの考え方の傾向

先ずは初めに会社におけるプライベートについて考えさえられた実例を紹介します。

 

私が働く職場では、歓送迎会や忘年会を毎年行っていました。しかし、ここ5年くらいで会社として開催することはなくなっています。それは、出席率がとても悪くなってしまったからです。5年前に新しい部門を開設し多くの新入社員が入社しました。高校卒の新卒の方や20代で転職してきた方など、これまでになく若くフレッシュな面々でした。

 

若い貴重な人材を会社は歓迎し、当然のように歓迎会の場を設けました。しかし、出欠をとる段階でこのような質問を受け驚きました。

 

「歓迎会の出席は強制ですか?」

 

私たちの時代では考えられない質問でした。

 

考えてみれば強制であるとは言えませんが、もし自分が歓迎される側だったらおそらく「出席しなくてはいけない」と思ったことでしょう。

 

私を含め、既存の社員は「欠席する理由がむしろない」と感じました。その時は質問された幹事が「強制はできないけど、顔合わせの意味もあるし皆さんを歓迎して迎えたいという会なので、特別な用事がなければ来てほしい」と伝えました。

 

結局、新入社員は皆、歓迎会に出席してくれましたが上司にお酒をつぎに回ることも、カラオケを勧めることも全て「強制」と捉えられてしまうのではないかという恐れがあり、昔のように新入社員にあれこれを教える人はいませんでした。

 

「若い人は考え方が違うし、まだ若くて物事を知らないから仕方ないね」

 

誰もがそう思うようにして接した、という感じです。

 

しかし、仕事が始まり1ヵ月くらい経ったある日、新入社員の一人がまたしても今までにない質問を投げかけてきました。

 

「退社時間のことですが、タイムカードを押す時に既に就業時刻を過ぎているのはおかしいです。着替えをしてからタイムカードを押すからそうなってしまいます。530分までの就業時間なのだから515分には着替えをして帰宅準備をしてもよいですか」

 

これには、複数人の新入社員が定められた就業時間以降のプライベートの時間に退社の準備をするのはおかしいという意見を述べてきました。私たち既存の社員は今までに一度もそのように考えたことがありませんでした。そのため、新入社員たちの考え方にかなりの違和感を感じ反発心も持ちました。

 

しかし、新入社員たちは「過去に東京で判例があり、社員の主張が認められている」とまで言うのです。これには、会社側ももう深くは考えずに今の時代の考え方はそうだという風に納得し、これまでの方法から新入社員たちの意向どおりに変えたのでした。

 

その後も、新年会、忘年会を計画する度に必ずと言っていいほど「プライベートな時間は強制ではないですよね」という声が聞かれたので、おのずと会社で企画する会というものはなくなってしまったのでした。

 

仕事とプライベートをどこまで切り離して考えるのか

紹介した事例では、若い新入社員たちは仕事とプライベートを見事に区別して考え、行動できる人たちでした。それは間違った考え方ではありませんし、仕事をないがしろにしてプライベートを優先しているのとも違います。区別しているのです。

 

仕事とプライベートはどこまで切り離すことができるのでしょう。突き詰めて考えると、確かに紹介した実例のように時間で区切ると明解です。少し冷めた考え方にも思えますが、就業時間で区切るのが絶対的な方法かもしれません。

 

就業時間以外はプライベートな時間であるという主張は通るでしょう。では、就業時間後の歓送迎会や忘年会などはどうでしょう。就業時間外のことなので、ここで優先順位が求められます。

 

例えば、会社の忘年会の日がデートと重なっていたらどうでしょう。デートを選んだらプライベート優先というように大方の人は受け止めるでしょう。会社の忘年会を選んだら会社優先、と思われがちです。

 

しかし、見方を変えると企画・参加者は仕事のメンバーですが、会社の忘年会の内容は仕事でも業務でもありません。もし、忘年会を選んだとしても私個人の考えでは、それはプライベートだと考えます。会社が主催していても、です。

 

それは「たまたま好きになった人に妻が居ただけ」という主張くらい「なんか違うぞ?」と思う人もいるかもしれません。しかし、会社の忘年会をデートと横並びに考えて自分のプライベートな時間をどちらのために使うのか、天秤にかけて選択したのですから理屈は通るでしょう。

 

歓送迎会も忘年会も強制参加を強いることはできません。

 

新入社員たちの意見や考えどおり、誰しもが自由意思で参加を決めることができるはずなのです。ということは、就業時間以外のプライベートな時間をどう使うかの選択肢の一つとして会社の忘年会も平等にデートや女子会と同じ立場で存在すべきです。

 

プライベートを主張するのはいいけれど

「プライベートな時間なので」といって、あたかも参加しなくて当然というような態度で会社の歓送迎会や忘年会を排除するのは、私は間違っていると考えます。それは「自分は仕事とプライベートを混同しない人なのだ」と言いたいだけなのではないでしょうか。

 

「プライベートで職場の忘年会に行く」ということがあっても何もおかしくないでしょう。むしろ、会社が企画したことには梃子(てこ)でも行かないと言う方が無理に肩で風を切っているようで滑稽です。

 

どうせプライベートを主張するなら

私たちが働く理由は、賃金をいただいて生活を維持するためです。しかし、それだけではありません。社会での役割を担って、そして自分の人生を豊かにしたいという自己実現が大切です。

 

自分の人生を豊かにするということを仕事に関連付けて言い換えると、「望む暮らしができるように仕事を頑張る」ということです。私たちは無意識に、プライベートの時間を充実させるために働いているのです。

 

自分がいかにプライベートを重んじているか、誰も知らないプライベートがいかに貴重かを主張するなら、そのプライベートを支えている仕事にも敬意を払うべきなのです。

 

職場の人の気持ちや配慮を感じるとる余裕を少しばかり持っても良いのではないでしょうか。それは、仕事を優先している考え方とは異なります。対人関係やコミュニケーショーン能力の問題です。

 

「仕事とプライベートを切り離している自分」を意識するばかりに、人を傷つけるような言い方や態度になっていないかということには留意した方が良いでしょう。

 

仕事とプライベート、どちらが優先でもいいが相手を傷つけない言い方は必要

極論から言うと、仕事とプライベートどちらが優先でもいいのです。それは時と場合によりますし、冒頭で述べた様に就業時間という絶対的な時間で区切れば罪がないのです。

 

しかし、ひとつ勘違いしてはいけないのは仕事仲間の企画だから、会社主導のイベントだからというそれだけの理由で自分の時間を使うことは無駄、絶対にありえないと決めてしまうことです。

 

選択は自由です。会社の忘年会は楽しいかもしれません。職場の人のいつもと違う面を見ることができて打ち解けるかもしれません。会社で企画する就業後の勉強会も、英会話やジム通いのような感覚で参加するに値するかもしれません。

 

嫌なら参加しなければ良いのです。しかし、相手が会社だからと言って、断る場合に必ずしも権利を主張するのではなく、友達の誘いを断るときのような配慮があってもいいのではないでしょうか。

 

まとめ

少子高齢化社会である今、会社にとって社員は貴重でかけがえのない存在です。田舎から都会の企業に就職する若者の寮の手配や食事管理、引っ越しまで手厚い配慮のある会社があります。新入社員の実家に社長が挨拶に来るという企業もあると聞きます。

 

また、福利厚生も充実し、国の定めた様々な休暇制度も標準で整備されています。今は、働き方改革の推進や年功序列の崩壊、実力主義の社会です。会社において年齢や立場に関係なく等しく個人の権利が守られ、尊重される世の中になりました。

 

しかし、このような世の中の変化と共に、仕事では怖いけど一つのプロジェクトが完了した時に飲みにつれていってくれるといったような、上司の愛情や優しさが垣間見られる場はめっきり減ってしまいました。

 

会社の企画する歓送迎会や親睦会に深い意味はありません。仕事や人間関係が上手く回る潤滑油のような存在でしかありません。プライベートと区切って一刀両断に斬ってくる人を見ると、私などは「今の人は生きにくい考え方を持っていて大変だろうなー」と思ってしまいます。

 

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