いつもなにかしらの悩みを抱えている、悩みの種が尽きない。そんな苦悩を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。仕事や人間関係など、日常の様々なことが悩みの種となってしまい、落ち込んだり気分が暗くなったりしてしまう。
では、悩みが多い、尽きないという人はなぜ多くの悩みを抱えることになるのでしょうか?また、悩みを減らす方法はあるのでしょうか。今回は、悩みが尽きない原因と悩みを減らす方法を考えていきます。
悩みが尽きない原因
悩みが多い、尽きないという人は珍しくないでしょう。中には、「なぜこんなに悩みが尽きないのだろう」と疑問に感じている方もいらっしゃるかもしれませんね。そこで、悩みが増えてしまう原因が一体どこにあるのかということについてご説明していきます。
ABC理論とは
悩みが尽きない原因を知るには、まずABC理論を理解する必要があります。ABC理論とは、アルバート・エリスが提唱した「論理療法」の概念です。少し難しいように聞こえるかもしれませんが、以下で簡単に説明していきます。
まず、ABC理論の「A」=「出来事」、「B」=「信念」、「C」=「結果」です。
例えば、あなたが失恋(A)したとします。その時、あなたはどのような感情(C)になるでしょうか?
深い悲しみを感じる人もいるでしょう。もう一生立ち直ることはできないと落胆する人もいるかもしれません。または、次の出会いへの第一歩だとポジティブに考えられる人もいるかもしれませんね。
このように、同じ出来事(A)が起こっても、生まれる感情(C)が違うのは、人によって「信念(見方、受け取り方、価値観)」(B)が異なるからです。
人は、起きた出来事をどう受け取るかによって見える世界が変わってきます。全く同じ経験をしても、それをどう見るか、どう受け取るか、どのような信念や価値観を持っているかによって結果として感じる感情や、その時に取る行動が大きく変わるのです。
そのため、先ほどの例のように「失恋」という同じ経験をしたとしても、その時に「自分にはこの人しかいなかったのに!」「失恋をするなんて恥ずかしい」などという見方や価値観を持っていれば、それが「悩み」になってしまいます。ですが、「誰しも失恋は経験するものだ」という信念を持っている人であれば、「次の出会いに踏み出せるぞ!」という「ポジティブな感情」が結果として表れるのです。
悩みを減らす方法
悩みの原因が、ABC理論の「B」=信念(受け取り方や感じ方、価値観)にあるということがお分かりいただけたでしょうか?では、ここからは悩みを減らす方法についてお伝えしていきます。
ここまでの内容をご理解いただけると、悩みを減らす方法として受け取り方、信念を変化させれば良いとわかるはずです。けれど、出来事に対する信念を変化させると言っても、具体的にはどのようなことをすれば良いのかわからない方は多いでしょう。そこで、ここからはその具体的な方法を説明していきます。
出来事(A)と結果(C)の間には必ず信念(B)がある
悩みの種となり得る出来事(A)が起こった時、悩みが尽きない人はすぐにこれを悩み事(C)だと考えてしまいます。ですが、その出来事は本当にあなたにとっての「悩み」に直結する出来事なのでしょうか?
悩みが尽きないという人は、悩みの少ない人から見ると、悩むほどのことではない出来事に対しても「悩み事」という結果を出してしまいがちです。そこには、自分自身が作り出した信念(B)があるということに気が付いていないためです。出来事(A)が悩み(C)になってしまう前には、必ず自分自身の信念(B)が存在するのだということを、まずはしっかりと理解し、意識するようにしてください。
自分の見方や感じ方、価値観によってその出来事が悩み事になっているのではないかということを一度疑ってみるということから始めていきましょう。
悩みに繋がる信念を減らす
悩みに繋がる信念が多ければ多いほど悩み事は増えてしまいます。そのため、悩みを減らすために一番簡単な方法は、悩みを生み出してしまう信念を減らしていくということです。では、悩みに繋がってしまう信念とは、どのようなものでしょうか。一番分かり易いものは、先入観です。
先入観は、悩みを生み出す原因となる信念の1つです。しかし、自分がどのような先入観を持っているのかということは自分では気づけないという場合がほとんどです。けれど、簡単に自分の先入観を見つけられるポイントがあります。それは「~~しなければならない」「~~すべき」という考えです。
ある出来事に対して、「~~しなければならない」「~~すべき」と考えたとき、それはあなたの先入観であると言えるでしょう。この二つの言葉が現れた時には、注意してください。
- 家事や育児は女性が行うべき
- 結婚したら子どもを持つべき
- 仕事が終わらない時には残業するべき
- なにがあっても親には従わなければならない
- 仕事は完璧にこなさなければならない
このような考えに心当たりはないでしょうか?上記のような「~~しなければならない」「~~すべき」という考えは、改めて見てみると先入観である可能性を疑うことができますよね。先入観は、悩みへ繋がってしまう信念としてあなたの中に根付いてしまっています。できるだけこのような先入観は減らしていった方が良いでしょう。
- 仕事と家事・育児を上手く両立できない
- 結婚して数年経つのに子どもができない
- 残業続きで疲れ切ってしまっている
- 親の過干渉に悩んでいる
- 仕事へのプレッシャーが大きすぎる
このような悩みは、全てあなたの中にある先入観が生み出しているものではないでしょうか。「~~しなければならない」「~~すべき」という先入観を無くすことができれば、このような悩みも自然と消えていくはずです。
「お互いに仕事をしているのだから、夫にも家事の一部を任せよう」
「子どもがいない夫婦も世界には沢山いる」
「体を壊すくらいなら転職を考えてもいいかも」
「もう大人なのだから自分のことは自分で決めよう」
「仕事でたまにミスをしてしまうことは誰にだってある」
先入観を無くし、このような考え方ができれば、上記の悩みもあなたの「悩み事」ではなくなります。大人になるにつれて、様々な経験や知識が増えていき、先入観などの信念もいつの間にか増えていってしまいます。そのため、無意識のうちに考え方や受け取り方、ものの見方などが制限されていきます。
悩みが尽きないという人は、しがらみが多すぎるのです。少しずつでも良いので、「~~しなければならない」「~~すべき」などの先入観を減らしていき、悩みへ繋がってしまう信念を無くしていきましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?悩みが尽きない原因と悩みを減らす方法についてお伝えしてきました。ABC理論についてはご理解いただけましたか?
今はまだたくさんの悩みを抱えて困っている方も多いかもしれません。ですが、今回お伝えした内容を参考に、自分の先入観について考えてみてください。「~~すべき」などの考え方で、あなたは自分自身で悩みを作り出しているのかもしれません。
「~~しなければならない」「~~すべき」という考えが頭に浮かんだら、今回お伝えした内容を思い出して、その先入観を自分の中から排除していくようにしてみてください。いつの間にか悩み事が減り、尽きなかった悩み事が増えなくなっているはずですよ。